>>278
一応補足ですが,挙げた例は要するに裁判所や裁判官を悪意でみる見方を
いくつか抜き出したものです。こういった見方をする人は,所詮情報提供ぐらい
では納得しないでしょう,ということです。
それと,裁判が良くなる,良くならないということについて,私は結論として今より
良くなるとは考えませんが,前にもいいましたように,その手続過程において国民
が直接参加できることにより,より国民に身近になるということ自体は決して無視
できない効用があるとは思っています。要するに,裁判とは何かが実体験で理解
できれば,裁判による救済というリソースがより有効的に活用できるということです。
このことは,行政による事前的な保護から司法による事後的な救済へ軸足を移す
上でも非常に大きなメリットがあると思います。裁判所の命令というのは,制度上
もちろんどこの国でも大きな強制力を持っているわけで,これが十分に機能してい
ないとしたら,その原因の一つは国民にとって司法が縁遠い存在だからだ,という
発想です。

ただ,結局のところ,それは法教育のあり方とか行政活動における意識の変化とも
ワンセットの問題ですし,刑事裁判で司法参加をさせることがどの程度そういった
メリットと結びつくかと言えば微妙な面もあります(もっとも,実際にここまでのイン
パクトをもたらす制度にしたのは,長期的にはアリなのかもしれませんが)。
私個人としては,子どものころからの十分な法教育と慎重な制度設計をやって,
あと十年くらいかけて行うのが正道だと思ってますが,いまや詮無きことです。
今は,うまく定着すれば司法をめぐる環境は変わるな,と思っているくらいですね。
それと,いまだに法教育についてはほとんどめどが立っていないのはどうにも困った
ところです。