責任能力についての提言についても適当ではないと考えます。
責任能力については結論を鑑定書に記載しないようにと求めるものです。
しかし、最高裁が鑑定書の意見を尊重すべきとの判例(平成20年4月25日)
を出したのですから、これに従って争点を@鑑定の前提事実に誤認があるか、
A鑑定医の能力に疑問があるか、という点に絞って審理を行うべきだと
思うのです。
仮に鑑定書に意見の記載をしないとしても、審理で鑑定担当者に対して「責任能力が
あると考えるか」という尋問がなされてしまえば、上記の最高裁の決定からすると
その意見を尊重しなければならなくなると思われますので、司法研究の提言はあまり
効果がないと思われるのです。