裁判員制度の政府案は、衆議院では2004年3月16日に審議が始まり、同年4月23日に
可決された。審議では、以下のような質疑応答が交わされている(3月16日本会議)。

 小林千代美(民主党)
  政令により、思想、信条を辞退理由に加えるということですが、裁判所がどの
 ような具体的な基準を持って思想、信条による辞退を許可するのか、法務大臣に
 明確な答弁を求めます。

 野沢太三法務大臣(小泉内閣)
  次に、思想、信条による辞退の具体的基準についてお尋ねがありました。
  政令の具体的内容については今後検討していくこととしておりますが、思想、
 良心の自由等の憲法上の権利を侵すこととなるような義務づけを行うことは許さ
 れないので、そのような場合には辞退することができることを政令において何ら
 かの形で明らかにすることとしたいと考えております。

 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/159/0001/15903160001015a.html

したがって、この法案を可決した衆議院議員たちは、当然のことながら、「思想、信条
による辞退」が許されることが政令に明記されることを前提として、賛成票を投じたに
ちがいない。

ところが、その政令 (*1) に、「思想、信条による辞退」にかかわる規定は何ひとつ
含まれていない。国会は国民の代表機関であるからして、野沢太三は、国民に対して
詐欺をはたらいた犯罪者、国民の敵である。

このような法案成立の経緯からして、我々国民に裁判員法 (*2) を受け入れる義務が
ないのは明らかではなかろうか?

*1「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第十六条第八号に規定するやむを
得ない事由を定める政令」(平成二十年一月十七日政令第三号)
http://law.e-gov.go.jp/announce/H20SE003.html
http://www.saibanin.courts.go.jp/shiryo/pdf/28.pdf

*2「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」
http://www.ron.gr.jp/law/law/saibanin.htm
http://www.saibanin.courts.go.jp/shiryo/pdf/02.pdf