>>77
田中芳樹が大好きな中国を2千年以上支えた儒教の祖・孔子の答えはハッキリしているな。
食と兵と信、これが政(まつりごと)だがやむを得ず3つの内から捨て去るならば、最初に兵、次に食と答え、「信無くんば立たず」と答えている。
日本人は割りと見落としがちだが。
明治維新後憲法制定にあたって欧米視察に行った伊藤博文達は実際の法制度の裏にキリスト教的精神がバックバーンにあることを見出し、日本という近代国家を作るにあたって何を以てそれに当てるかか考えた。
それが国家と一体化した天皇制だったわけ。
つまりどのような人間の社会を作るにあたってもその社会を支える基本的価値観というか規範というのは不可欠だということだ。
田中芳樹はそういったようなことを歴史を学ぶことを以て知っていたから、第三の勢力として地球教というものを設定したのだろう。
勿論地球教そのものは妄執であり未来を形作るものではないが。
ある意味ラインハルトにしてもヤンにしてもオーベルシュタインにしてもヒルダにしても最終的にはそれを求めて事を行なっているとも言える。
トリューニヒトがバケモノなのはそういったものが全くなく、逆にどのような価値観であれ寄生してそれを食い尽くしてしまうところにある。
ラインハルトの偉大さは、キルヒアイスにより朽ちることがなくなった、自らにとっての守るべき価値観を以て全てを極限まで推し進めたことにある。
もしもそれを放棄して政治と経済を優先させる事を求められたら、ラインハルトは今度は絶対に拒否するだろう。
それはイゼルローンに残った者も同様で。
只、
「人間は主義だの思想だののためには戦わないんだよ!主義や思想を体現した人のために戦うんだ。」
というのはアッテンボローの言葉である。
「器」というのも色々あるが、最も深い器はそういった人の器であると、少なくともこの小説内ではなっているような気がする。

スレ違いスマンな。