昔において戦いに上手な者は、まず味方を固めて敵に勝たせない態勢を整え、
それから敵が弱いところを見せて敵に確実に勝てる時期を待つようにした。
敵に勝たせない態勢を整えるのは自分のする事だが、
敵に必ず勝てるかどうかは相手しだいである。
そのため戦いの上手な者でも、
敵に勝たせない態勢を作る事は出来るが、
味方が必ず勝てるような状況を敵に作り出す事は出来ない。
だから勝利は予測できるが、それを必ず実現する事は出来るものではないと言われるのだ。

敵に勝たせない態勢とは守りの事であり、敵に必ず勝てるとは攻撃の事である。
守るのは戦力不足が有るからで、攻撃するのは余裕が有るからである。
守りの上手な者は、大地の奥深くに潜むように隠れ、
攻撃の上手な者は高い空から舞い降りるように行動する。
だから味方の安全に守って、しかも完全な勝利をおさめる事が出来るのである。