●いま明かされるアニメ誕生秘話

>アニメの「セーラームーン」が成立したのは、どういった経緯になるんでしょうか。
確かいちばん最初に、「なかよし」増刊の方で、
「コードネームはセーラーV」という作品があったんですよね。

武内:そう。それを東映さんが非常に気に入ってくださったのよね。

小佐野:アニメの「セーラームーン」の前に、
同じ「なかよし」の「きんぎょ注意報!」のアニメがあったんです。
それが終わることになり、後番組をどうするのかという話になりました。
そこで編集部としては、他の作家さんの作品をアニメ原作として推していたんですが、
それが流れてしまったんです。
で、もうひと案ないかという話になったところに、
ちょうど武内先生の「コードネームはセーラーV」第一話ができあがってきたんです。

武内:それで、小佐野さんが怪しい企画書を作って、東映さんに売り込んだんです(笑)

小佐野:「セーラーVはこんなに面白くて展開が広がる作品です」と
半分以上デッチあげて(笑)

武内:わたしはまさかテレビアニメになるとはつゆ知らず、
彼に言われるまま設定をガンガン考えさせられて(笑)

>では、アニメの成立に関しては、小佐野さんの力が大きかったんですね。

武内:非常に熱心に売り込んでくれました(笑)
でもわたしも、戦隊ものとかアニメが、もともと大好きだったんです。
オタク少女だったんですね。
アニメグッズを買い集めたり、学生の頃はセル画をお遊びで描いたり(笑)
そういう会話に乗ってくれる編集さんって、
少女マンガの部署ではあんまりいないんだけど、
小佐野さんとはオタクっぽい話で盛り上がることができました。
だから、わたしと小佐野さんが巡り会ったというのが運命だったんですね(笑)

小佐野:それで、いろいろと誤魔化しながら、
いろいろなことを盛り込んだ企画書を作って提出したら、通っちゃったというわけです。

>でもその段階では「セーラーV」のアニメ化という話ですよね。
それがどうして、今ある形の「セーラームーン」になったんですか?

小佐野:アニメのことよりもまず、
「セーラーV」をそのまま「なかよし」本誌で連載するのは難しいだろう
という判断があったんです。

>「セーラーV」って、基本的に一話完結のお話ですからね。

小佐野:もっと大河ドラマ的な部分がないと、
月刊誌である「なかよし」に持っていくのはつらいだろうと思いまして、
全体のムードを少し変えて、キャラもチェンジしたんです。