>>19
続き 《 ココは完全に自演スレ 》
すべてを観たわけではないけれど、少なくとも「駄作」
と切り捨てるものはなかったように思う。が、しかし、残念ながら
今作は、「駄作」と言わざるをえない。映画化におけるしょうもない
「改変」は、ある程度仕方がないことだとは思う。過去の伊坂原作の
映画化作品においても、すべて何らかの改変はされている。今作において
問題は、原作の持つテーマ性をまるっきり履き違えてる事だ。
主人公は拭い去れない復讐心を抱えているが、この物語のテーマは
「復讐」などではない。それは、原作において、「復讐」の最大の対象が冒頭で
いともあっさりと死んでしまう事からも明らかなはずだ。
映画では、冒頭から陰惨な殺戮シーンを映し出し、いかにも凶悪な「悪党」の
存在を際立たせ、安直に描出される復讐心を煽っている。それが実に陳腐で
ダサい。原作小説では、悪党の親玉たちの描写は必要最低限に抑えられている。
直接的な描写は殆ど無く、ほぼその配下の部下や取引先の人間たちによる伝聞
ているのは、主人公の平凡な男と、二人の殺し屋の、抱え込んだトラウマからの脱却の様で
ある。そしてそれを主軸にして、誰も知らない「業界」の常識とルール、そこで生きる者たち
の心象風景が、特異なエンターテイメントとして繰り広げられている。
クスリ中毒と同じでもう自演をしないと平常を保てない基地害老害
そういったテーマ性や娯楽性が、全くと言っていいほど再現されていない。
同監督作では、同じ俳優が主演した「脳の男」が、粗はありつつも想定外に面白い娯楽映画に
仕上がっていたので期待感はあった。しかし、今作においては、豪華なキャスティングを
まったく生かしきれていない演出力のマズさが終始際立つ映画になってしまっている。
アクションシーンがチープだったことも大きなマイナス要因だったと思う。
クスリ中毒と同じでもう自演をしないと平常を保てない基地害老害
ジョン・ウィックレベルのアクション描写を用意しろなどとないものねだりをするつもり
だが、多種多様な細かい殺人描写がキモであるストーリーだけに、映像的説得力の無さは
致命的だった。更には、エンディングに大ファンであるYUKIの楽曲が意味不明にタイ
アップされていたことが、やり場のない虚しさに拍車をかけたのでお願いします!