前野「さーて、木之下と遊んでやるのはこのくらいにしておいて、そろそろいくか。」

井沢「そうだな・・。では頼むぜ、俺達の思い出隊長。」

田中の肩へポンと手を置く、前野と井沢。
親指を立て、自信満々の鼻息を漏らす田中。

そう、彼らは稲中を卒業するときに、青春の日々の思い出として
「田中コレクション」をタイムカプセルに入れて埋めておいたのだ。

そして3人は蒼き衣(女子更衣室から拝借した学校ジャージ)をまといて
約束の地である金色の野(グラサン校長の銅像の裏)へ降り立ったのである。

在校生の白い視線も気にせずに、地面を掘り返す3人。

やがてカチリ、と田中のスコップの先から固い音が鳴った。
顔を輝かせる田中。

井沢「お、おい。出たのか?」

前野「間違いないんだろーなっ?チビ。」

黙ったままうなずきながら、あくまで慎重にカプセルの蓋を捻る田中。
3人の視線が、カプセルへと注がれる。