TV版サクラ大戦〜第1幕〜
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いいだろう、これから話す事は皆機密事項だ。
誰にも洩らすんじゃないぞ。
この作品の背景には政治的思惑が絡んでいた。
そもそもの原因が「13号」だ。
映画公開時は制作がマッドハウスになっているが
もともとトライングルスタッフで作られていた同作品が収集着かなくなった為に
トラスタの社長の親分であるマッドハウス預かりになった。
そして、その代わりに責任を取らせる形で「サクラ大戦」を押し付けた。
マッドはいい厄介払いをした訳だ。
当初。キャラデ・総作画監督を務めるハズであった松原秀典が
ゲーム「サクラ大戦3」、及び劇場版「ああっ女神さま」で身動きが取れず
代わりにマッドハウスで立てたキャラデもレッドカンパニーに跳ねられ
中々人が決まらずにズルズル行っていたものだったから、
色々と面倒になっていたのだろう。
トラスタは事実上制作能力などもう無かったのだが、
マッドハウスが何話かヘルプに入る、という事と以前から付き合いのあった
シャフトがメインで制作に入ってくれるという事でとりあえずの見切り発車になった。 そして、TBSが枠に決まった、という事も一つの流れを作っていた。
これは企画が動き出した早い段階で決まっていた事らしいが
TBSが枠を決めた理由の一つに、「中村隆太郎」起用、という点だった。
レインのDVDセールスが好調であった事、ワンダフル内で放送された「カラフル」が
局内でも思いの他受けが良く、
中村隆太郎に対して、かなりの好印象を抱いていたようだ。
ついで、
TBSという局はハガレンやブルージェンダーの様に、アニメーションにおける
表現規制に対して、一つの理解があり、比較的寛容で有るというのは
無関係ではないように思われる。
そして、中村隆太郎監督のもと、サクラ大戦TVの制作が
「サクラプロジェクト2000」の一環としてスターとする訳だが
実は、大きな落とし穴が待っていた。 一つは、トライアンングルスタッフには前述のとおり、
制作能力が事実上無かった事。
「13号」の制作がズルズルと先延ばしになって行くうち、
「13号」の予算を使い果たしてしまった。
追加予算を期待していたのだが、バンダイからは無情の資金打ち切り。
予算を確保する為に「Rain」「BOY-ハレルヤ」「マスターモスキートン'99」「魔法使いTai!」
「ブキーポップ」「ニアアンダー7」といった、
TVシリーズを片っ端から請けて、予算を引っこ抜くといった自転車操業を繰り返していたが
ついには「ニア」で、力尽き、スタッフへの未払いが相次いだ為に
スタッフは皆離れていってしまい、
トラスタ主導で進めていた「チャンス・トライアングルセッション」も
スポンサーのAVEX預かりになってしまった。
そして、「サクラ大戦TV」を最後に会社を解散する事になった。 そして、もう一つは、監督の中村隆太郎と、マッドの社長で「サクラ大戦TV」の
プロデューサー丸山正雄が、犬猿の仲であったこと。
そもそも中村隆太郎氏はマッドハウスのアニメーターで、
初期のマッド制作アニメにも名を連ねている。
当時丸山氏はデスクだったが、現場でしょっちゅう衝突していたらしい。
俺とメイスンみたいな関係かな。
出崎・杉野両氏を代表とする「あんなぷる」の面々は、
丸山氏が嫌でマッドから独立したという話もあるくらいだ。
そして、何故犬猿の仲であった丸山氏の作品に中村隆太郎が監督として座る事になったのか。
前述の、政治的思惑が絡んでくる事になる。 そもそも中村隆太郎が監督を請ける事になったのかといえば
トラスタの社長がもともとマッドの制作で、早くから氏の才能を見抜き
懇意にしていたことが一番の理由、
そしてその盟友の会社が倒産の危機を抱えている事への仁義、
そして、スポンサーTBSのご指名、といった事が挙げられる。
丸山氏自身は面白く無かったろうが、
さりとてTBSの指名なのだから仕方が無かったのだろう。
しかしこの人事が、全ての間違いのはじまりだった。
過去の話を挙げるならば
同氏は丸山プロデューサーとの確執が原因で、
ビデオ「クリスタニア」のシリーズの途中で降板している。
だから、同氏にしてみれば丸山Pと絡みたい訳などあろうハズも無かった。
そしてそれは確実に尾を引いていた。 かくして、無事キャラデ・総作画監督も決まり、放送開始三ヶ月前にして、
ようやく一つの形になってきた矢先、事件は起こる。
そしてこの事件が原因で、
「サクラ大戦TV」の現場に大きな混乱をもたらす事になる。
このスレの最初の方にも出ていた、「ゴーストライター事件」が、それだ。
そもそも、独自の視点と哲学でフィルムを作る氏の作風と、
ある意味ベタで王道(といっても、キャッチ・ザ・思春期オタクハートの事だが)
のカタマリであった同作品の作風が合うはずも無く
(それは隆太郎ファンの諸兄ならよーーーーーっくご存知だと思うが)
シリーズ構成であった川崎ヒロユキ氏の脚本を見て、眉をひそめたそうだ。
「なんだこれは?」と。 そして、一度レッドカンパニーとマッドハウスの許可を通った
氏の脚本を捨て、中村氏が立てたゴーストライター二人に本を書かせた。
そしてそれが、上がってきたコンテと違う事に気が付いたレッドが
マッドに怒鳴り込み、事が明るみに出た。
事前に、中村氏が広井氏に直接話をしていて、
メールのやり取りも頻繁に行われ、
ある程度意思の疎通を図っていたようだったのだが
(つまり自分勝手に独善的な判断の基、行っていた訳でもなかった)
さすがに川崎ヒロユキを蔑ろにしたのはまずかったように思われるが
レッドも一枚岩では無く、
広井王子の意思よりも会社の利益が優先で働く事がまま有るようで
とにかく作品のイメージを壊すのはまかりならん、とエライ剣幕だったようである。
そして、事態を重く見た丸山正雄は
収拾のために現場にあれこれとちょっかいを出し始めたのだった。 中村隆太郎から監督の権限を取り上げ、現場を仕切り始めた。
手始めに、脚本のチェック。
マッドハウス担当の回の脚本は監督のOKが出る前にコンテマンに渡し、
コンテを切らせた。
そして、上がってきたコンテを、やはり監督に渡すことなく作画に入らせた。
サブキャラの各話設定は基本的に総作画監督が行うことになっていたが、
マッドの回は、その回の作画監督が行い、やはりチェックを待たずに作画イン。
さらにマッドハウスから制作が派遣され、
現場の動向を逐一報告されていた。
この丸山氏の強行姿勢に、プライベートでも精神的に追い詰められていた中村氏の
堪忍袋の緒がついに切れる(まあ、本来なら逆ギレもいいとこなんだろうが、
氏に対して同情を禁じえないのもまた人情)。 かくして、中村隆太郎は制作話数5話にして
監督としての責任と権利と義務を放棄し降板したのだった。
以降の脚本チェックには関わらず、編集にも立ち会わず、
名前だけは、テロップに残った。
監督が関わったのは5話までで、以降はほぼノータッチ。
第1話と最終話を見比べていただけば、
決して同じ人間のフィルムではないのが解ると思う。
なにより、1話でプンプン匂っていた中村臭が、
最終話ではすっかり毒気が抜かれてしまっていた。
このことを、当時スポンサーだったTBSは知っていたのかは定かではないが、
現場では緘口令が敷かれていた。
かくして同作品は、迷走を始めるのである。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています