そこへ、次元羅針盤の不思議な発光とともにスクリーンパネルに姿を現すのが、
イスカンダルのスターシャである。驚くべきことに、彼女は地球を出てからここまでの
ヤマトの航海をずっと見守ってきたというのだ。
ガミラスの科学力はすさまじいものだが、イスカンダルはそれをも凌駕しているの
だろうか。いや、むしろ科学力ではない「なにか」の力によっていると思った方が
いいかもしれない。
「あなたがたの愛と勇気と実行力に期待しています」とスターシャはヤマトの面々を
励まし、次元羅針盤の示す方向へ進めなさいと告げてメッセージは終わる。
すると計器類に灯がともり、波動エンジンが息を吹き返すのだ。彼女は、ヤマトのこの
戦いに何を見たのだろうか。ヤマトがイスカンダルを目指すことを可能にしているのは、
彼女が与えた波動エンジンと波動砲という技術である。異次元空洞で、その両方が
使用不可能になった。ヤマトにとって絶体絶命の危機である。もはや諦めてもおかしく
ない状況で、しかしヤマトの乗組員たちは自分たちの持てる知恵と力で、この窮地を
何とか切り抜けようとした。
彼らの中に、たとえ彼女が与えた技術が潰えても、それでもイスカンダルを目指すんだ
という強い使命感を見たにちがいない。