漫画家の本領、漫画の精神は、諷刺にある。諷刺の対象を普通の市井の人たちを
対象にするのは下であり、社会諷刺は、強いとされている側を皮肉ったり
当てこすったりすることが本来。

しかしそれは、資本の論理で大手企業を顧客として沢山抱えている
広告代理店の支援する内容には普通はならず拒否されがちになる。
未来の話ですとかうんと昔の話ですとか空想科学のお話ですとか
いうことにして作品を作れば、比較的チェックが入らないで済む。

公害問題などを批判したり、政治家の汚職をネタにした漫画を描くと
それが新聞とか雑誌に掲載される分にはありでも、視聴率20%とかを
めざすテレビ番組としては、スポンサーを沢山抱えた広告代理店の
とりあげるものにはならない。手塚治虫が社会批判を強めた漫画作品を
描こうとすれば、それに対抗して彼が経営するアニメ会社がうまくいか
なくするように、裏側で権力が動くことは可能だっただろう。企画を出
してもそれを採用しないように手を回せば良いのだから。テレビ局は
役所に支配される。広告代理店は経団連に物が言えない。番組製作者は
スポンサーが神様です。