「クロ ーディアは笑顔で輝と未沙を迎え入れた 。だが 、瞳はまったく動いていない 。焦点は 、はるかかなたの虚空に飛んでいた 。その憂いをふくんだ表情には 、ある覚悟を決断したきびしさがあった 。輝は急に胸がいっぱいになってしまい 、頭の中が混乱した 。──おれはいったいなにを報告すればいいのか ?輝はあらゆる言葉を探しだそうと努力した 。困惑する輝を救ってくれたのは 、だれあろう 、クロ ーディア自身だった 。クロ ーディアは輝にひと言だけたずねた 。 「ロイは … …立派だった ? 」 「は 、はい 」 「ありがとう 。それで十分よ 」微笑をふくんだクロ ーディアの唇に 、こらえている女の哀切さがただよった 。」

―『超時空要塞マクロス【劇場版】愛・おぼえていますか (スーパークエスト文庫)』富田祐弘著