本気モードになったのは一条が聖にキャプテンを移譲してからだろう。
原は試合でタイムを取って指示を出す際も一方的に言わず聖の意見を
聞くことが多いし、とにかく選手の個性を尊重する。
どこかの熱血スポコン監督のように「あまえるな!」「それぐらい取れ!」
「嫌なら辞めろ!」と目を吊り上げて怒鳴り散らすことはないのだ。
聖の人格も素晴らしいが、原の人格も相当なものである。
大学のチームライバルと対戦して負傷させた時もずっと責任を感じていたし、
橘高校が公式試合に出る時も自分が責任を取ると言ってしぶる教頭を説き伏せた。
ちなみにこの時、教頭は自分は責任を取らないと言及して、原とのコントラスト
になっている。

こんな優れた監督と主将なら1年生も続けられるし、一条も改心するだろう。
さすがに半年で全国優勝は荒唐無稽だが、いろいろ肉付けして1年以上かければ
より説得力が増しただろう。まあ現場が許さなかったので致し方ない。
でも視聴者としては作品のマイナス面を見るより、横道にそれたり冗長でなく
骨子に絞った濃密な作品を短期間に見れるプラス面で捉えればいいと思う。

そもそも原はなぜこんなに冷静なのだろうか?どう見ても体育系らしくない。
ここからは推察になるが、原はもともと体育系ではないんじゃないだろうか?
単なる部のコーチではなく本職は教師である。それも理科(生物学)の先生だ。
体育教師でないので、体育系大学ではなく一般大学それも理系の大学である
可能性が高い。一般入試で理系大学に入り、卒業後、実業団の誘いを断り
教師になったのかもしれない。そう推測すると大学時代のチームライバルが
理系の知識を活かしてコンピューターバレーに傾倒したのも納得がいく。
原が文武両道の人で理系の勉強とバレー部を両立してたとしたら
熱血感情タイプではなく冷静分析タイプになるのも道理である。
プランクトン研究なんて体育系は感心すら持たないだろう。
理科の実験の基本は観察であり、その上で探求、分析が必要だ。
そう考えると原の行動は説明がつきやすいと思う。