ハイジは全編高畑演出の賜物なので何でもかんでも宮崎駿だと思ったらダメ

小田部羊一インタビュー(2015年)
動物は人間のようにしゃべったり表情で訴えたりすることがない。
だけど、ただそこにいることで存在の意味とキャラクター(性格)を出したいという点で、監督と意見が一致しました。
僕は、セントバーナード犬を実際よりも「ドスン」とさせることでヨーゼフらしさを出そうと思い、とても誇張しました。

ヤギのユキちゃんもいますね。本物のヤギの目は怖いのですが、僕は瞳や表情が出ないように単に黒く塗りつぶした。
その単純化によってキャラクターらしさを出せたと思うし、失敗ではなかったと思います。

そして、動物のキャラクターを、演出でちゃんと表現してくれた監督の力をとても評価しています。

高畑監督はよく、リアル一辺倒だというような評価をされることがありますが、違うんですよ。
例えばハイジが雲に乗っていたり、干し草のベッドでシーツをフワッとかける時ハイジの体が宙に浮いたりするシーン。
ハイジが初めて山に行くときの、洋服を脱ぎ捨てて駆け出すあのシーンもオーバーな表現ですよね。
そのような大胆な表現をすることで、その後の開放感を、全てを脱ぎ捨てて人間が大自然に飛び出していくという弾む心を見事に表している。
これはやっぱり監督の演出力だと思います。僕はこういうところをきちんと評価して欲しいと思います。