死ぬのが恐ろしいのは家族がいるからだ。
我が身可愛さだけではない。守る者のいる強さ。
それがそれまでのジョーのライバルにはないホセの強敵たる所以だったのだが
最後にはそれが唯一の弱点ともなった。
また、廃人カーロスを見て動揺したところや
ワンサイドになった中盤にジョーサイドに棄権を促したところをみれば、
ホセは、対戦相手を廃人にすることに良心の呵責を感じていたのは間違いなかろう。
そして、その罪の罰はやがて己の身にふりかかってくるのではないか、と恐怖心も抱いていたに違いない。
最後、幽鬼のように立ち向かってくるジョーは、まさにその罰を与えに
地獄から使わされた死神に見えたのだろう。