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ブリジット「お待たせしました」
ハビシャム「ブリジット様、お乗りになってください」
ブリジット「はい」
そう言ってブリジットは馬車に乗った。
馬車は墓地の方へ向かって走り出した。

馬車の中でこんな会話になった。
セディ「僕、ものすごく心配したんだよ。ハリスおばさんったら怖い顔して
僕に今日は帰りなさい。ブリジットは粗悪なアメリカ人とつき合う身分じゃないの。
…ブリジット、今日は行けないのかなあって諦めようとしていたんだ。
そこへお祖父さんが来て助けられたよ」
ブリジット「セディ、ごめんなさいね。嫌な思いをさせて…」
セディ「ううん、悪いのは僕だよ。約束の9時前に行った僕がいけなかったんだ」

伯爵「ブリジット、お前の母親は相変わらずああなのか?」
ブリジット「そうですねえ。父はアメリカの大学の教授さんとのおつき合いも
あるので父は違うんですけど…でもロンドンに住むようになってからはアメリカの
学者さんも沢山来るようになってアメリカ人でも知識階級の方にはあんな態度は
取らないようになって来ていますけど。でも時々、家族同士で居るときはたまに
どんなに知識があっても所詮はアメリカ人は素性が悪いわねえっていう時があるの」
セディ「それは違う、間違いだよ!ホッブスさんもイギリスに来る前までは
貴族のことを良く思っていなかったようだけどイギリスに遊びに来るようになって
からは今度生まれ変わったら貴族と言うものになってみたいわいって言っているし。
お祖父さんの言っているとおり、ハリスおばさんもアメリカに行ったら
考えが変わると思うんだけどなあ〜」
セディはちょっと不満気にそういった。

伯爵「そうだな。それにしても今度、わしからもハリス夫人に言っておこう。
セドリックはイギリス一の貴族になる立派な孫じゃとな。それから
そのアメリカ人に対する偏見も無くすよう説得してやろう」
そう言っているうちに馬車は墓地に到着した。