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そう言って追い払おうとした矢先…伯爵が現れた。
伯爵「レディ・ハリス、お久しぶりじゃな。サー・ハリス(ブリジットの父は
準男爵)は仕事かな?」
ハリス夫人「夫は今日も大学に行って教壇で講義をしていますわ」
伯爵「ほう、日曜日なのに大学で講義?変じゃな」
ハリス夫人「正確にいうと学会の準備で日曜返上で出勤。そのお陰で今日の
用事は私一人で出かけなきゃならないんですよ。ブリジットを誘ったら
友だちと大事な約束をしたから一人で出かけてって言われたわ。
…へえ、こういうことだったってわけね」
伯爵「そうか。サー・ハリスは不在か?久しぶりなのに会えなくて残念じゃったわい。
それにしてもお前も相変わらず改心していなようじゃな。そういうのを偏見というのだ。
ブリジットの友達とはセドリックのことじゃ。さっき聞いたじゃろ?セドリックの
言うとおり今日はブリジットとセドリックは電話で約束したのじゃ。わしもこの耳で
しかと聞いていた。しかもわしの嫁の夫になったハビシャムの先妻の墓参りだというのに
何じゃ、その言い草は。まったく、、」
さすがにそういわれてハリス夫人は引き下がった。
ハリス夫人「御前、今日のところは御前の命令ということでブリジットの外出を許可します。
…それにしても粗暴なアメリカ人を後継者に持って大変ですことね」
伯爵「いい加減、その偏見を直せ。セドリックはお前が考えているアメリカ人像とは
まったく違うぞ。…そうじゃ、お前も墓参りに行くか?」
ハリス夫人「いいえ、遠慮しておきます。さっきも言ったとおり私は別件で忙しいのですよ」
そう言ってハリス夫人は出かける支度をし始めた。

伯爵「ブリジット、出てきなさい。キャロルのお墓参りに行くぞ」
続けて奥へ戻ろうとしたハリス夫人に伯爵はこう言った。
伯爵「ハリス夫人、お前も今度、サー・ハリスとアメリカに行って来い。
アメリカに対する見方も変わるぞ。これは忠告しておく」
その言葉を聞いたハリス夫人は黙って家に入って行った。