佐藤大氏が構成したであろう脚本の基本ロジックは、
キャラがそれぞれ大切な思いを抱いてるんだけど、それを上手く他人に伝えられないことで生じる軋轢、すれ違い。
そこから生まれるドラマ。

20話、ホランドは高僧を救出に行くが、理由は金のためだと誤解するレントン。
ホランドはエウレカのために高僧の力を借りたいという動機だけど、それは諸所の理由で説明がでない。
そのもどかしさが、レントンへの暴力として出てしまう。
タルホは事情をしってるからレントンをかばう立場になるはずが、
これまたエウレカへの愛憎から、レントンにビンタをかましてしまう。
大人の身勝手さでボコボコにされるレントンを見て、
レントンを哀れみながらもよく出来たドラマだと大人の視聴者は感心する。
でもレントン世代の視聴者には面白さは理解し難いだろうな。

終盤、レントンが出撃してホランドをピンチから救う。
ハップが「レントン、よくやった! タルホ、間に合ったぞ、あいつ。」と言い、安堵するタルホ。
これがもっと能天気なロボットヒーローアニメなら、ブリッジは「レントン、グッジョブ!」と歓喜にわくところだが、
そうしない演出がエウレカセブンなんだ。
表面的な喜びをそのまま描写するのではなく、
心の深くに刻みこまれるような人間同士が信頼の絆で結ばれていく様を、
ハップのひかえめな台詞で表現している。

こういう脚本が出来上がると、声優はそれに応えられる力量を求められる。
声優さんも、こういう脚本だと本当に演じ甲斐があると思う。
そして見事に演じきっている。

で、ここで終わりじゃなくてレントンが壊れていく様も描いていく。
こういうふうに毎回毎回ただじゃ終わらないんだよな。