脚本家の某は、虫プロで原作漫画のネタが尽きた後にも鉄腕アトムの
シナリオ台本を作って居たが、それで作る前に手塚治虫のチェックを
受けなければならなかった。そうしてもちろん直しを要求されること
があったようだが、特に番組の最後の締めくくりのところにたとえば
ユーモアを入れたり、もうひとひねりを入れてみなさい、などとされ
ることが(たぶん多かったらしい)。実際、アトムはそうなっている。

私が思うに、これは、落語のオチであったり、戦前の名作のハリウッド
映画がそうであったのと共通的な感覚だ。また「お話」を作ることに
強く関心のあった手恷。虫の漫画の傾向でもある。見終わった時に、
最初と最後の印象が残り易いということもあるだろう。それでまた
読み返したり、視聴し直しができなかった当時のテレビ番組であれば
次週もまた見ようという気を起させる。(虫プロアトムは、殆ど全て、
毎回の放送エピソードは独立でその中で完結する話しだった)。