虫プロ倒産の前後で、誰が巨大な利権を得たか、その男がその後
ビッグマンになれた理由は何によるのかを考えてみれば判る。
外部と結託して、会社の経理を悪くして担保にフィルム作品
などを取らせた上で倒産に持ち込む。担保を押さえた側に恩を
うった。折りしも、UHF放送時代が開けると思われていたため
放送局は商売になるコンテンツを欲していた。一時借金の担保
として虫プロが作っていたアニメの永久放映権はFテレビが
獲得ということになっていた。その後の交渉で10年間に限定
されたが、これで得た利益は大きかったはずだ。
 手塚氏は虫プロの社長を辞める際に、それまでに累積した
赤字の債務は引き継ぐといってしまったために、後で幾らで
も赤字を上乗せさせられてしまった。そもそも株式会社だっ
た虫プロなのに、経営者がなぜそこまで個人で債務を無限保証
しなければならない理由があるのだろうか。それまでもかなり
作品を作る上で持ち出しになっていたのが実態であるのに。
ディズニーに倣ってフィルムの再放送により後でお金がうまれる
からということである程度楽観していたのに、その一番かちの
ある部分をF社にポンと権利を渡してしまったことにより、一時
財産的にはほぼ無価値の会社になってしまったのだ。
そのごF社が10年間で再放送しまくって得た利益は、手塚氏が
債務を弁済した額に比べれば、はるかに大きかったことだろう。
それほど視聴率の高かった番組を再放送する権利は打ち出の小槌
のようなものである。だから目をつけられたのだろう。
 たしかに経営的には劇場アニメなど作らねば良かったのだ。