突然の「排除」指令だった。例年なら今月中に中国スーパーリーグは開幕するはずだが、この日までに中国サイドから日本協会に「日本選手は参戦不可」との連絡が入った。
同リーグは日本人だけでなく、すべての外国人選手を出場させない方針。
だが関係者は「それは名目で、明らかに日本つぶし」と、憤りを抑えながら言った。

中国からみると「平野ショック」が大きいようだ。
昨年、当時16歳の平野が初参戦。リオ五輪2冠で世界ランク1位の丁寧ら、世界の強豪にもまれながら技術を磨いた。
成果はすぐに結果に表れる。同年10月のW杯、今年1月の全日本選手権を史上最年少で制覇。
4月のアジア選手権では丁ら中国トップに3連勝して優勝。世界に、中国に衝撃を与えた。

日本選手への負けは許されない。
その頃から中国は「打倒平野」として、プレースタイルを似せた「コピー選手」を4人つくるなど、徹底して対策を練った。
同時に、平野のような日本選手が出てくることを警戒。中国スーパーリーグからの日本人排除の議論が起こってきたようだ。

「日本人排除」は中国リーグ全体に広がっている。先月下旬、伊藤美誠(16)がスーパーリーグ下部の「甲Aリーグ」に参加。
下部リーグには無事参戦できたものの、日本協会には「来年からは日本人の参戦は不可」との通知が来ているという。
関係者は「3年後の東京五輪が終わるまで、日本人選手は中国のリーグに参加できないだろう」と嘆いた。

福原愛も含め、女子は中国のリーグに参戦して、実力を高める流れがあった。
だが、今回の「日本人排除」で、強化策の練り直しも迫られる。
すでに日本協会は打開策として、緊急に練習パートナーの中国選手を2人雇った。
スーパーリーグに参戦不可となった平野と石川は、国内で中国選手、男子選手らとの練習で、実力を高めていく。
突然の中国からの締め出しは、東京五輪金メダルへのし烈な戦いの1つともいえる。