その時、オレは新作の打ち合わせをしていた。突然、男の怒鳴り声と女の悲鳴が聞こえ、爆発音がして、ゆれた。
なんだ?どうしたんだ?オレは、会議室を出ようとしたら、黒煙が見えた。
誰かが「早く、屋上に逃げろ!」と叫んだ。
熱い。
俺は真っ暗な中を這うように階段に向かった。喉が焼けるように熱い。
屋上に行こうとしたが、人の列で渋滞していた。
「早く、ドアを開けろ!」「はやくー!」「ゴホゴホ!あー!」「死にたくないよ〜!」悲鳴が響いた。
「ドアが開かないー!」先頭にいるらしい若い女の声が事態の切迫を告げていた。
ふざけんな!こんなとこで、くたばってたまるか!
オレは、前にいた女を後ろに押し倒した。「キャー!」
何としても、助かりたかった。前にいる奴らが障害物のように思え、無性に腹が立った。
倒れている奴もいて、階段を登るのに難儀した。
やっとドア近くに着いたが、意識が朦朧として歩けなくなった。
遅かったか・・・熱くて煙くて苦しかった。涙が止まらない。
段々と無音になり、何も感じなくなった。
俺のこの熱い思い久美子ちゃんに届け!