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 天理大の寮と練習場は、奈良県北西部にある。
「天理大には、自分から来たいという選手しか来ません」とは小松監督の弁。裏を返せば、天理大側から声をかけるような有名選手は関東を中心とした他大学へ流れる。
 その潮流は、関西大学Aリーグを5連覇した今季も止まってはいないのだろう。松永の弟で同じ大産大付属高出身の松永貫汰は、関東大学対抗戦Aの筑波大へ入った。付属の天理高で高校日本代表となった中山律希はいま、同じく対抗戦の明大にいる。

 かたやこの日、活躍した市川は、大阪の無名校と言える日新高から天理大へ入っている。今季主将となった松岡も、日新高と同じく全国高校大会と縁遠い兵庫県の甲南高出身だ。入学後に部員へ高校名を教えたら「コウナン? 兵庫の? 知らんなぁ」ときょとんとされたらしい。もっとも市川や松岡らが入部する前までには、限られた戦力を鍛えて結果を残す文化が仕上がっていた。松岡は言う。

「天理の選手には、やったるぞという気持ちが強いんじゃないですかね。花園(全国高校大会)に出られなかったことなどいろいろと悔しい思いを持ちながら、ここで競争している。実際、僕もそれで成長しました。やる気のある選手、ハングリーな選手が多い」