これまでの慶應ラグビーを将棋に例えれば、相手の実力に関係なく、
常に金・銀・飛車・角抜きのハンディー戦を強いられてきた永世名人の様なものであった。
しかし、飛車・角を持つ上に歩の代わりに金・銀・桂馬をより多く持てる若手棋士の台頭や、
飛車・角抜きとは言え、ベテラン棋士も金・銀、桂馬を使い放題になり、
永世名人としても、頑なに現在のハンディーを維持して惜しまれての引退を選ぶか、
名誉を捨て、ハンディーの引き下げで勝負の世界に留まることを選ぶのか、
究極の選択をせざるを得ない状況に追い込まれていたのは誰の目にも明らかであった。
そして、永世名人としては、名誉を守りながら勝負の世界に留まる為には、
金・銀使い放題よりも、金・銀抜きで飛車・角を使う新しい形のハンディーを選ぶ方が、
賢明だと判断した訳である。
慶應ラグビーの新たなチャレンジにエールを送ると同時に大いに期待したい。
嘗て、金・銀・飛車・角をフルに使い3連覇を果たした同志社だが、
その代償として一番大事なものを失ったことを大いに反省し、
出来る事なら、大学ラグビーの変化に合わせて新しい形を創造して欲しいものである。
しかし、金・銀を使いながら、肝心の大事なものを取り戻せそうにない同志社としては、
この際、金・銀・飛車・角抜きで、勝負の世界から身を引く方が賢明かと思う。
名誉を守り第一線から撤退すると言うのも立派な決断の一つだと思う。