ドラマ『きのう何食べた?』、人気のカギは“語りたくなる”ディティール

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190614-00000324-oriconbiz-ent

放送中の4月期ドラマの中でも特に高い人気を誇る、
西島秀俊&内野聖陽主演のドラマ24『きのう何食べた?』(テレビ東京系/毎週金曜24:12)だ。


◆世界トレンド1位に、原作ファンの心を捉えた初回放送

 同ドラマは、よしながふみ氏の同名コミックスを原作に、
2LDKの部屋で2人暮らしをする男性カップルの筧史朗(西島)と矢吹賢二(内野)のほろ苦くも温かい毎日、
そして月2万5000円の中でやりくりされる日々の食卓を描いた物語。

 視聴率、見逃し配信共に深夜帯の作品としては異例の高水準で推移し、
本誌のドラマ満足度調査「ドラマバリュー」でも、100Pt満点中平均93.4Ptと現時点で今期No.1の高い満足度をマーク。
5月30日に行われたTX小孫茂社長の定例会見では、同作について「手ごたえを感じています。
かなり幅広い層、特に女性層に大変な人気があり、うれしい限りです」と言及する一幕もあった。

 もちろん、同作はTwitter上でも賑わいを見せているが、ツイート量の推移やツイート内容から、
人気拡大のカギは初回放送にあったのではないかと佐藤氏は分析する。

「Twitter上では、放送期間内(1クール)の関連ツイート・リツイート数が10万以上あるドラマが“話題作”の目安。
『きのう何食べた?』の場合は、4月5日の初回放送時から約10万ツイートを記録
(「#きのう何食べた」「#何食べ」のオリジナルツイート、リツイート数の合計)し、世界トレンド1位を獲得しました。
1話目からこれほどの盛り上がりを見せるのは非常にレアなケースです。
人気原作の実写化は難しい部分もある。特にこの作品は1月のドラマ化決定&
メインビジュアルの解禁時から話題を集めていたので、プレッシャーも大きかったと思いますが、
このツイートボリュームからは、見事に原作の世界観を体現し、原作ファンのハートを捉えている様子が窺えます。
初回放送時につぶやかれていた言葉のワードクラウドには、
「すぎる」「すごい」「やばい」「めっちゃ」という強調言が目立っていて、
これらも原作の再現度の高さ、ドラマが視聴者の期待を上回るような仕上がりであったことを証明しています」

◆キャスティングから料理、小物まで語りたくなる切り口が満載

 初回放送でしっかりと原作ファンの心を掴み話題を作ったことで、
その熱がドラマファンや他の視聴者へと飛び火。初回以降も毎話ツイートの山が作られ、
5月24日の8話終了時点で約39万もの関連ツイートが投稿されている。
この熱量は、制作陣のディティールの追求が生んでいるのではないかと佐藤氏は語る。

「キャスティングはもちろん、史朗が作るおいしそうな料理の数々、
史朗と賢二が暮らす部屋の小物から、スーパー等のお店まで、本当に丁寧に作られていて、
視聴者が誰かと共有したくなる要素が散りばめられている点が、作品の人気を支えているように思います。
たとえば、6話で初登場した磯村勇斗さん演じるジルベールこと航が着ていた
“針ネズミTシャツ”は、原作の航の雰囲気を言い表すようなユルいデザインで話題を集め、その後、商品化されるまでになりましたよね。
料理に関しても番組を観ながら作ることができるような肩肘張らないメニューばかりで、
自分で作った料理の写真と共にツイートする方も散見されます」

 ディティールへのこだわりに加え、「公式SNS等の運用のうまさが一層会話を盛り上げている」と佐藤氏。
「キャストの発表タイミングや制作秘話の明かし方が絶妙。これらはリテンションを高めているはずです」

 キャストに関しては、1月24日にドラマ化と合わせて西島と内野が役に扮したメインビジュアルを解禁。
原作に忠実&豪華な配役で話題を集めた後、3月23日、27日にその他キャストを。
そして、初回放送2日前となる4月3日に、注目キャラクターである小日向大策(山本耕史)、
井上航(磯村勇斗)のキャストを発表し、話題性を高めていた。

 これらのデータからは、テレビ東京のドラマ制作力の高さや深夜ドラマに対するこだわり。
そして、情報出しの上手さが垣間見られた。