>>954
 『仮面ライダー』という作品に対して「SF的におかしい」と誰もツッコまないのはなぜかと言うと、
所詮はバイクに乗っているバッタの改造人間が飛び蹴りで敵を倒す話だからなんですよ。
そういう世界観があるので、例えば「あれに出てくる蜘蛛男は、ちょっと蜘蛛としては設定がおかしい」
と言ってもしょうがないんですよね。

 つまり、世界観のレベルと設定のバランスの問題なんですね。

 で、SF警察というのは、このバランスを全く考慮せずにツッコむ人のことだと思うんですけど。

 自分が好きな作品に対して、「SFとしてダメだ」とか、「科学的に正しくない」っていうのは、
言われると、やっぱりカチンとくる人がいっぱいいるんですよ。

 恋愛ドラマをやってる時に、「この男のセリフは、女のセリフは心理学的に正しくない」
なんて言う人はいませんよね? あんまり怒る人いない。
それはなぜかと言うと、もし「あのセリフは心理学的におかしい」と言う人がいても、
「それはツッコミだ」とみんな解釈することが出来るからなんです。遊びとして理解するんです。

 だから、仮にそういうツッコミをした人がいても、「ああ、そういう見方をする人がいるんだ」というくらいで、
周りも笑う態勢になっているんです。

 しかし、アニメとかマンガというのは、見ている人も、ツッコむ人も、なんか、まだまだ心が純粋な人が多いんですよ。
……まあ、遠回しに言ってますけど、心が子供の人が多いんですよね。

 なので、ツッコミとして楽しめないんですね。だから、SF警察みたいに言われる人も、ムキになって言うし、
遊びとして言えない。そして、それを否定する人も、ムキになって否定してしまうんですね。

 僕みたいに年を取っちゃったら、「ああ、そうなの? SFとして矛盾あるの?
じゃあ、その矛盾を説明出来る新たな理屈を考えよう」みたいな方に発想が行くんですよ。