>>787
 お便りが来ています。ハンドルネームさいたまさんからのお便りです。

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> 質問です。
> 岡田さんは自分でアニメを作るのと、他人の作ったアニメを見るのとでは、どちらが楽しいですか?
> アニメ作りは大変な労力を費やす作業だと思いますが、『なつぞら』を見たり岡田さんの話を聞いていると、
>「作っている人達が一番アニメを楽しんでいるのではないか?」とも思います。
> ものづくりにかける青春や、才能ある仲間との共同作業を、僕は味わったことがありません。
>完成したフィルムを見ているだけの僕は、ひょっとして残飯を食べているだけなのでしょうか?
> 見る側と作る側、どちらも知り尽くした岡田さんの答えを聞かせてください。

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 いや、あのね、楽しいのは、絶対に「他人の作ったアニメを見ること」なんですよ。これは本当です。
 だって、楽しむためには「楽しいアニメを選んで見ればいいだけ」なんですから。
ダメなアニメだったら、見るのをやめればいいじゃないですか。

 ところが、作る側に回ると、これが良いアニメかクズアニメかは、やってみないとわからない。
おまけに、仕事の後半になって、やっとわかってくる場合もあるんですよ。
もちろん、最初からわかる時もあるんですけども。

 なんか「あれ? コンテとか設定を見る限り、どう考えても面白くないと思うんだけど、
俺の友達はみんな盛り上がってて、これやろうぜって言ってる」みたいなことって、よくありますよね?

 第1話を見た時点で、自分では「あんまり面白くない」と思ってたんだけど、クラスのみんなが盛り上がってるから、
ついつい見ちゃって、途中でやっぱり乗り切れなくてやめるっていうのが、よくあるんですけど。

 あれって、仕事の現場でもあるんですよ(笑)。
 最初のうちはアニメーター仲間も「これ最高!」って言ってたんだけど、途中でみんなすごくツラそうな顔になってきて、
「やっぱり面白くなかった」とわかるというのが、本当によくあるんです。

「企画段階とか脚本とか絵コンテの時点では、あんなに面白かったのに、
なんで現場に入ったら、こうなってしまうのか?」っていうのが多いんですよ。

 「才能のある仲間との共同作業が〜」って書いてらっしゃるんですけど、
それだったら、別にアニメでなくても、お店のバイトでも、どこでも同じなんですよ。

 すげえヤツっていうのは、どこにでもいて、どこでも面白いことを思いつくし、
そういうヤツが面白いことを言ったら、それに一緒に乗っかればいいだけなんですね。