>>766
 その次が、この3コマ目です。このコマになると、顔の左右の縮尺は同じなんですけど、ところが、
首から下は巨人のままで顔だけ人間大に縮小し始めているので、首の付根の位置とかが、もう、おかしなことになっている。

(パネルを見せる)【画像】グランマンマーレ変身4 ?2008 Studio Ghibli・NDHDMT
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 そして、最後、一気にフジモトにガッと身体を寄せる時に、全ての辻褄を合わせるんですけど。
まだ、首が長いままになっているという。

 こういうふうに、すごく丁寧に、この女の人、グランマンマーレのバケモノ性というのを見せているんです。

 本当にね、このシーンを見てると「あれ? 一瞬キャラが崩れたかな?」と思うようになっているんですよ。
だけど、こんな重要な女性キャラクターが初登場の時に、それも、振り返りをゆっくり見せるという時に、
作画ミスをするはずがないんですね。

 この「変身する時に顔の右側から縮み始めて、次に顔だけがすっかり縮んでしまって、
首だけが長いような変なプロポーションになって、
最後に寄って行く時にグッと全部のプロポーションの辻褄を合わせて行く」というのは、
「変身する時に、バケモノな部分を夫にだけは見せないようにしている」ということなんですね。

 そして、これを描写することで、観客にだけは、この女性のバケモノ性をわざわざ見せようとしているんですけども。

「足元の花壇」の意味とグランマンマーレの「正体」
 このように、グランマンマーレは自由に自分のサイズを変えられるように見えるんですけども。
それだけでは説明できない、ちょっと不思議なシーンがあります。

 それが、グランマンマーレと宗介の母親のリサが、2人で相談するシーンです。

(パネルを見せる)【画像】グランマンマーレとリサ ?2008 Studio Ghibli・NDHDMT
https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/14127177/picture_pc_36278f93cf953c42f53a08063d6e4ba1.png

 もう本当に、映画の最後の方のシーンですね。グランマンマーレとリサが立ち話をしているところを、
養老院のおばあさんたちが遠くから「あの2人、ずっと話してるけど、何を話してるのかしら?」と見ている場面です。

 この時、2人が何を話しているのか、観客には全然わからないんですよね。

 グランマンマーレのサイズも、微妙にちょっと怖い大きさなんですけど。
まあ、別に、リサと全く同じサイズじゃなくてもいいと思うんですけど。
なんか、この時のグランマンマーレって、ちょっと威圧的な大きさで、怖くて良いんですよ。