>>429
 ここでのポイントは2つです。

 まずは1つ目。「樋口真嗣監督率いる樋口組に庵野秀明が脚本・企画として参加」について。
つまり、庵野秀明は監督じゃないんですよ。監督はあくまでも樋口真嗣であって、
庵野秀明は企画・脚本で参加するだけ……というふうに言ってるわけです。

 そして2つ目。「脚本の検討稿は2019年2月5日に脱稿済み」というところ。
つまり、もう完成している、と。そして「庵野は『シン・エヴァンゲリオン』劇場版の完成後、樋口組に本格的に合流する予定」と。

 これが、公式の発表なんですよ。このステートメントだけ見てると、
『シン・ウルトラマン』って、まるで樋口映画のように見えるんですね。
「庵野君は、あくまで、ちょっと手伝うだけ」みたいに見えるんですけど。

 いや、でも、違う。
 だって、「脚本は2019年2月に出来ている」んだったら、後で合流する必要なんてないわけですよ。
本当に「企画・脚本としての参加のみ」なんだったら、もう、庵野君の仕事は終わっているわけですよね。

 つまり、これは「『シン・エヴァンゲリオン』公開までは樋口班に下ごしらえをコツコツやらせておいて、
『エヴァ』が完成してから、一気に撮影を進める」というやり方なんじゃないかと思います。

 それと同時に、この声明は「『エヴァ』をやらずに、あんなことばっかりやりやがって!」という、
ファンの方々からのキツーいメッセージが、マジでボディブローのように効いてるんだろうな、と(笑)。

 たぶんね、エゴサーチをしてるんですよ。やっぱりみんな、エゴサーチしてるから、案外、そういった声が腹にドンドン効いてるんだと思います。
 なので、その作家の作品を楽しみたいなら、あまりそういうことをバンバン言うのはやめた方がいいんじゃないかなと思うんですけども。

・・・

 今、報道でも「庵野秀明は学生時代にも『ウルトラマン』を題材にした実写映画を撮っていて〜」みたいに、
『帰ってきたウルトラマン』という自主制作映画の、映像の一部であったり、写真であったりがよく紹介されています。

 ご存知の通り、庵野秀明が学生時代に作ったその映画、『帰ってきたウルトラマン』
という自主映画の脚本を描いたのは僕、岡田斗司夫なんですね。

 この時、庵野秀明と「絶対にやろう」と言っていたのが、クライマックスを3つ作るということだったんです。