>>58
 はい、今ご覧になって頂いたのは、2016年の年末に行った「今年の映画を総括する」というニコ生の映像でした。
 「邦画は、高級感のある本格的な絵が弱い」という話をしてて、
「それに対して、新海はルックがあるね」という話をしてたんですけど。

 『君の名は。』って、現在、ハリウッドで実写化が進行してるんですよ。
 「あんなにねヒットして、あんなにカッコいい絵を作れても、
やっぱり実写にしないと世界映画になれない」というのはもうショックです。
 まだまだアニメは弱いなと思います。

 アニメで世界映画になれたのって、ディズニーと、ピクサーと、宮崎駿だけなんですよね。
 それだけが世界中で、アニメのまま受け入れられて、「ああ、ヒットしたんだ。じゃあ、実写に置き換えようか」などという、
屈辱的なことを考えられなくて済んでいるんですよ。

 アニメっていうのは、実写に比べて格下だから。いわゆる、メキシコとか、そこら辺の国でヒットした映画を、
「じゃあ、ハリウッドで作り直してあげよう」という、リメイクみたいなことをされてしまうんですね。

 そんな中で、ディズニー、ピクサー、宮崎駿だけは、そういうことがあまりなかったんです。
まあまあ、最近はディズニーのアニメもどんどん実写になるので、そこら辺も油断できないんですけど。

 まとめとして、『君の名は。』のルックが、なんであんなに素晴らしいかというと、「新海誠は目が良いから」なんですよ。
 とにかく、新海誠には、東京という街が、新宿という街が、あんなに綺麗に見えるんです。あれがすごいんですよね。
 あの目っていうのは、富野由悠季も、宮崎駿も、高畑勲も、押井守も、庵野秀明も、誰も持ってないんですよ。

 「現実があれだけ綺麗に見えるレンズを持っている」ということが、新海誠の作家性。
新海誠は、『君の名は。』で、そこにようやっと踏み切れた。

 「SF的なプロットとか、仕掛けとか、伏線こそが自分の中での作家性だ」と思っていたところから、
「この世界を見る目そのものが、実は自分の最大の作家性だったんだ」と気が付いたところが、
やっぱり『君の名は。』のすごさだし、新海誠のカッコいいところだと思います。

 どっちかっていうと、マンガ家の目に近いんじゃないのかな?

 後は、『ガンダム THE ORIGIN』のところでも語った通り、「SFを上手く使いこなしてる」というところが、
SF野郎としては評価が高くなるところだと思います。
 以上で、『君の名は。』の話を終わります。