>>57
 そんな中で、新海さんというのは、圧倒的に美しい「ルック」というのを持っている作家なんだよね。
 それぞれの映画なりの撮り方の個性、マンガ家で言うと絵の個性、絵面みたいなものを、
映画の世界では「撮影監督が持っているルック」って言うんだけどさ。

 なので、『君の名は。』というのには、ものすごく美しい画面が出てこれる。
 今、中国でも大ヒットしてて。残念ながら、3億円くらいの買い切りだったそうなんだけど。
それでも、大量のチャイナマネーが日本のアニメ産業に対して、動いているそうなんだけど。

 『君の名は。』ってね、総括すると「21世紀の『ローマの休日』」だと思うんだよ。
 『ローマの休日』っていうのは、青春ドラマ、恋愛ドラマの原型中の原型で、世界中の人が知っていて、
世界中の人が共感できる話として、ハリウッドで作られた映画なんだけど。

 あの時代は、スターが出てきて、観光地としてのローマ、みんなが行きたいところに行って、
お姫様と新聞記者の恋愛を描くというだけで、世界恋愛映画足り得たんだけど。

 もうね、今や、世界中の人が憧れることが出来る21世紀の恋愛ストーリーっていうのは、『君の名は。』みたいなものなんだと思う。
 出会いがあって、悲しい別れがあって、含みがあるラストシーン。
 基本的に言えば、もう『ローマの休日』での枠組みっていうのを踏襲してるよね。

 こういうワールドスタンダードな恋愛ドラマが、日本のアニメから出てきたっていうのはすごい嬉しいし、
たぶん、黒澤明の『七人の侍』以来の、世界の映画界に対してショックを与える作品になるだろうと思ってるんだ。

 なので、「『君の名は。』は、世界でヒットして、おそらく『ローマの休日』のような
、世界標準の恋愛ドラマになるだろう」という予想でありました。


(録画映像終了)