>>223
 なので、新海誠としては、それまでの宇宙モノとかを合わせた集大成としてやっているんですけど。
 この辺りの説明を全て諦めてまで、ベタな泣かせドラマに集中したというところが、
「すげえよ、新海! よく割り切ったな!」と思うんですけども(笑)。

 面白いのは、三葉の友達にテッシーという、ざっくばらんな男の子がいるんですけど。
 このテッシーは、最初、自転車に乗ってるんですね。テッシーはこの自転車を「行って来いや! この村を救って来い!」
みたいな感じで、三葉に貸してくれるんですよ。

 で、三葉はその自転車で走って行くんですけど、途中で転んで、自転車を壊してしまうんですね。
 なので、その後、瀧とクレーターで出会った後で、三葉はテッシーに「ごめん、自転車、壊しちゃった」って言うんですけど。
テッシーは「何のこと?」って言うんですよね。

 なぜ、ここで「何のこと?」と言ったのかというと、実は、瀧と三葉が出会った時に、もう時間軸全てが変わっちゃったんですね。
 テッシーが自転車に乗っていない世界にズレちゃってるんですよ。
 この世界では、テッシーは自転車に乗ってなくて、ずっとバイクに乗っている。その後、そのバイクを貸してくれたんですけど。
 ここからもわかる通り、実は、時間軸のズレというのは、かなり早い時点で行われているんですね。

 まあ、でも、そこら辺の説明も全て抑えて、「もう描かなくてもいいや!」と排除して行って、
ベタなドラマにしているところが面白いと思いましたね。

 あとは、「ティアマト彗星の軌道が曲がっているように見えて、ちょっと変だ」というふうに、SF作家の山本弘さんが指摘されてて。
まあ、天文学的に考えればそうなんですけど。

 ここら辺も、作画ミスと考えることもできるんですけど。
その他にも、「いや、そうじゃなくて、これはこの星と星とが出会いたいからだ。作為的なリードなんだ」
というふうに考えることもできるんじゃないかと思ってました。
 まあ、99%作画ミスだと思いますけどね(笑)。

 そんな感じがしますということで、ロー・ドラマの名作、『君の名は。』の話はここまでです。

(録画映像終了)