>>216
 ガンモはそこで、「鳳凰というのは、人間の子供の純粋な気持ちというのを受けて、
清い気持ちのまま、この世に羽ばたかなければいけない。
だから、1年間という期間に限って、卵の状態で人間社会の中で過ごすことが必要でした。
でも、あなたの役目はもうすぐ終わります。あなたはもうすぐ消えてなくなります」と言われるんですね。

 つまり、ガンモというのは包み紙だったんですよ。元から捨てられる運命の、
1年間限定の包み紙。それが破れることで、素晴らしい鳳凰が生まれるんですけど。

 でも、ガンモのことを「自分の無二の親友だ」と思っている男の子や、
その家族にしてみれば、ガンモというかけがえのない存在はいなくなっちゃうんですね。

 最後は、ガンモの殻が破れて消えてしまうんですけど。その前の晩に、ガンモはみんなに挨拶するんですね。
 「実は僕の正体は卵で、もうすぐいなくなっちゃう。でも、悲しまなくてもいいよ。
僕がいなくなった瞬間に、みんなの記憶から、僕は消えてしまうから。半平太君、これからは僕なしでもちゃんと生きてね」と。
 こんな、ドラえもんの最終回レベルの大感動の盛り上がりがあるんです。

 これ、なぜかと言うと。
 『Gu-Guガンモ』の作者である細野不二彦という人が、少年サンデー編集部に最初に
マンガを持ち込んだ時から、小学館の編集者は「ゲェェーッ!」って思ったんですよ。 
「こいつ、メッチャ絵が上手い! おまけに子供向けの話が描ける! オバケみたいな大きいキャラクター描いてもいける!
こいつは藤子・F・不二雄になるしかない!」と。

 細野不二彦って、もともと、『アクエリオン』とか『マクロス』の監督をやったスタジオぬえの
河森正治の友達だった人で、慶応大学の小等部の頃からSFばっかり描いてた人だったんですね。

 それが、大学生になった頃、少年サンデーに持ち込んで「SFを描きたい」と言ったら、
「お前はそんなものを描いてはダメだ! 細野不二彦、お前は藤子不二雄の後を継げ!」
と命令されて、苦しみながら描いたのが『Gu-Guガンモ』なんです。

 まあまあ、『バクマン。』でいうと『走れ!大発タント』みたいな話なんですよね。
 そんな人が描いてるので、まあ、上手くて当たり前なんですけど。

 さて、その最終回。
 前の夜にガンモが、みんなに「これでお別れだよ。でも、みんなの記憶から僕は消えてしまうから、
悲しまなくてもいいんだ」という、藤子・F・不二雄ばりの挨拶をするんです。

 で、挨拶をし終わった瞬間に、その場でガンモの身体がボンッと破けて、
その中から何百匹もの綺麗な鳥がブワーっと世の中に羽ばたいていく。

 この鳳凰がまたこの世界をきっと平和にしてくれる。良くしてくれる。
 でも、半平太という主人公の男の子は、「ガンモのことは絶対に忘れない! 忘れない! 忘れない!」と言って、夜が更けて行く。
 そして、その翌日の朝というのが、マンガのラストシーンです。