>>212
 ファンタジーとSFというのは、どっちが優れてるというものではなくて、
そういった技術的な制限や科学的な制限、制約、縛りを面白がるか、あんまり面白がらないかの差だと思ってください。

 例えば、『ハリー・ポッター』はファンタジーだから、魔法のエネルギー源を問わないんですよ。
 魔法を使っても、「じゃあ、この系にあるエネルギー保存則はどうなっているのか?」
ということは、あんまり気にしないんですね。

 逆に、初期の『機動戦士ガンダム』というのは、慣性の法則とか、科学的な部分にこだわりまくってるんですよ。
そこがこの作品を面白がるポイントの1つなわけですね。

 富野さんというのは、その時代にやっていたような他のロボットモノとの差別化というのを、ここでやろうとしたわけですね。
 なのに、「所詮は巨大ロボットモノなんだから、そこまでのリアリティなんか別に要らない」と言うと、
あの頃の富野さんを全否定するような形になるんです。
 俺、YouTubeのコメントを見て、「それは富野さんが気の毒だよ」って思ったんですけど。

 巨大ロボットというのは、さっきも話したように、技術的に無理なだけなんですよ。
材料工学とか動力源の問題が解決したら、全然アリなんですよね。

 でも、反重力とか重力制御というのは、科学的にまだ無理なんです。理論も実験も、その基礎状態から何もない状態です。
「こうすれば可能なんじゃないかな?」という仮説が、かろうじてあるくらいですね。

 なので、『ガンダム』の中に、人工重力場を登場させると、一気にジャンルがファンタジーになっちゃうんですね。
 「技術的に無理だけど、科学的には不可能じゃないよね」っていう、「もしも」を重ねて楽しむのがSFであって、
SFとファンタジーでは、どっちが上とかじゃなくて、ジャンルが違うんです。

 もちろん、そういうこだわりがない人にとっては、「ファンタジーだろうがSFだろうが、
どっちでも自分の好きなロボットモノの世界なんだから、うるさいことを言わずに楽しませてくれよ」という話なんですよ。

 それはね、すごくよくわかる。
 ただ、この岡田斗司夫ゼミというのは、申し訳ないけど「ファンタジーなロボットモノが大好きだ」
と言う人をターゲットにしてないんですよね。
 なので、たまたま動画を見ちゃって、気分を害してしまった人には「申し訳ございません」と謝るしかないんですけど。