2019年6月11日
【ガンダム講座第9回】シャアにとって、ガルマの本当の魅力とは?
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51556517.html

『ガンダムORIGIN』のアニメ版が、今、NHKで放送されてまして、毎週毎週見てるんですよ。

 『ガンダムORIGIN』ではシャアが主人公になっています。
 先週は、シャアが士官学校に入って、ガルマ・ザビと出会うという話でした。

 もう、運動から軍事教練から勉強から、何から何まで最優秀のシャア・アズナブルに対して、
今、ジオンを支配しているザビ家の末息子のガルマ・ザビは、もうコンプレックスしか感じないわけですね。
(中略)
 この一件でシャアと親しくなったガルマは、いきなり士官学校の宿舎でもシャアと同室に引っ越してきます。
 それまでも、シャアのルームメイトはいたんですけど、そいつを追い出して無理やり同室になるんですよ。
そのあまりの無邪気さに、シャアは思わず笑っちゃうわけです。

 さらに、夜、シャアに負けまいと一生懸命に勉強して、そのまま机に突っ伏して寝ていたガルマを見たシャアは、
彼に毛布をかけてしまうんですよ。

 大事なのは、ここでのシャアの行動の受け取り方です。さっきも言った通り、シャアは延々と内面を見せないので、
例えば「ここで優しくして売り込んでおけば、後々、出世できて便利だ」とか、
「こいつに取り入るために、友情のあるフリを見せておこう」と解釈することも出来ます。

 でも、もしシャアがそういうふうに思っているのだとしたら、
絶対に毛布をかけるシーンだけで終わるはずがないんですね。
翌日の朝、ガルマが起きて自分の肩にかかった毛布に気がついてシャアに「ありがとう!」と言うと、
「いや、君は僕の大事な友人なんだから当然だよ」みたいなセリフを返して、その後シャアがニヤリと
ほくそ笑むというようなシーンを入れるはずなんです。そこまでして初めて、そういう描写が完結するわけですね。

 そういうシーンがないということは、やっぱり、サングラスの中の優しい目のシーンを含めて、
シャアの中には明らかに葛藤というのか、二面性が現れているということなんです。

 これこそが、シャア自身も認めたくない“若さゆえの過ち”です。
 例えば、「心を開いてはいけない人間につい心を開いてしまう」とか、
「俺は友達なんか作らないと誓ったはずなのに、誰かに友情を感じてしまう」という。
 この時に、そういった過ちが発生しているわけですね。

 ここを見ておくと、もっと大きい流れとして「なぜ、ガルマの父のデギン・ザビ公王や、
兄のドズルが、あそこまでガルマを溺愛するのか?」というのがわかってくるんです。