>>246
 僕は『ドラゴンクエスト2』に感動したあまり、エニックスの千田さんというプロデューサーに直接会いに行って
「『ドラクエ』の仕事を一緒にやりたいです! ぜひ手伝いをやらせてください!」というふうに言ったんですよ。

 そしたら「じゃあ、ちゃんとクレジットにも、あなた達がやったと出すので、全ての武器や鎧の設定を考えてください」と言われたんですね。
 そこで、うちの会社にいた玉谷純という大阪芸大出身の、それまでは実績はなかったものの、ファンタジーが好きだった人間に設定を考えてもらったんです。
 今でも使われている“ロトの剣”から、“天空の鎧”から、“キメラのつばさ”といったアイテム全ての設定を、全部彼1人が考えて、書き上げたんですよ。
 それをエニックスに提出したんですけども、その功績は、現在なかったことにされてしまったんです。

 まあまあ、僕とかはいいです。でも、玉谷純の名前くらいは残してやれよというふうに思うんですけども。
 いつの間にか、「一緒にやろう」と言ってたところから、
「いや、ゼネプロさんにはこの仕事をお願いしますから、その件はなかったことに」ということで、無理やり曖昧にされてしまったんですね。
 なので、いまだに僕は、エニックスと千田さんを許しておりません。『ドラゴンクエスト』は好きですが、許しておりません(笑)。

 だからといって、どうこうしようというのではなくて。
 ここから得られた僕の教訓は「クリエイターは大手と仕事をするな!」ってことなんですよ。
 「他人の作品を手伝うな!」、「大手の仕事をするな!」というのは、僕、クリエイターが持っておくべき鉄則だと思います。

 庵野秀明くらい偉くなると別なんですよ。
 昔、『帰ってきたウルトラマン』という作品を、僕が監督・プロデューサーで庵野秀明と8ミリで作った時、
円谷と円谷の版権の管理事務所は、作った僕らを呼び出して「なんてことだ! けしからん!」と言ったんです。
 そうなんですよ。だって、パロディとはいえ帰ってきた“ウルトラマン”を名乗って作っちゃったんだから。

 なので、僕らも平身低頭謝ったんですけど。
 でも、同時に円谷プロと版権管理会社の人たちに、「でも、作品を見てください! すごくちゃんと作ったんです!」と言ったんです。
 だけど、その当時は「こんなものは見るに値しない! なんてくだらないんだ!」と散々言ってたんですよ。

 なのに、庵野秀明が有名になった瞬間に、手の平を返したように、円谷は公式に認めて、
『帰ってきたウルトラマン』のDVD販売を許可することになったんですよね。

 つまり、「庵野くらい偉くなったからひっくり返せた」ということなんですけども。
逆に言うと「庵野くらい偉くならなかった玉谷純は、エニックスに功績を隠されたまま」なんですよね(笑)。

 なので、クリエイターの皆さん「大手とは仕事はしない方がいいですよ」というのが、俺からの助言です。

 すみません。ということで、ムーミンの話からはちょっと離れてしまいましたが、サインは入れません。ステッカーを1枚送ります。

・・・