>>905
 GAFAに限らず、このIT企業というのは、だいたいどこでもそうなんですけど、
「少数精鋭のエリート達が、スマートに、泥臭くなく、実にカッコよく巨万の富を手にする」ということを目的としています。

 しかし、その影では、当たり前ですけども、大部分のGAFAとかIT企業と競合している大部分の中小事業者は廃業することになり、
失業者は増えて行きます。彼らは、人をあんまり雇いませんから。

 その結果、中産階級というのが空洞化することになります。
 この「中産階級」というのは何かというと、かつて、日本にもいっぱいいた
「そこそこのお金を持って、そこそこの年収をもらって、定年まで働いたら当たり前のように年金で食っていける、
生活に不満はあるんだけど不安があまりない人」というものなんですけど。

 まあ、子供も大学に行かせたり出来る、そういう普通の家庭というのが、
徐々に空洞化して行って、貧富の差は広がる一方です。

 この本の中では「僕らが便利な暮らしを手に入れた代償として、
そういうことが、いずれ我が身にも振り返ってくる」というふうに警告しています。

 つまり、コンビニで安くて美味しいものが手に入る代償として、地域で地味に頑張っている定食屋が潰れて、
農民とか漁民とかも後継者がいなくなってしまうほど儲からなくてシンドい仕事になってしまうのと同じですね。

 安くて美味しいいろんなものが手に入るようになった。じゃあ、その美味しいものは、なぜ安く手に入るのかというと、
それを作る人たちが買い叩かれてるからですよね。

 GAFAというのは、僕らを快適にしてくれるんですよ。ひたすら便利にしてくれるんですよ。
おまけに楽しくしてくれるんですよ。すごいですよね。快適にして便利にして、楽しくしてくれる。

 だけど、僕らを豊かにはしてくれないし、幸せにしてくれるわけでもない。
 いろんなことを深く考えないようにしてくれるし、発作的に欲しいと思ったものを最安値で手に入れることが出来るようにもしてくれる。
そういう快楽は得られるんですけど、その奥にある幸福ということに関しては、彼らは感知してないわけですね。

 このように、四騎士の素晴らしさというよりは、「こいつらが、いかに巧く僕らを騙したのか?」を紹介している本なんですよ。
 なので、この本の中ではGAFAに対する悪口に、メチャクチャ力が入っています。

 今日の話の後半では、どんな話をするのかというと、
「実は、僕らは貴族になっちゃったんだ。Appleという城に住んで、衣装を身に着けて、Amazonという執事を使いこなし
、Facebookというサロンに通い、Googleという礼拝堂で祈るようになっちゃったんだ」と。

 こういうのを最後のまとめで語りますので、ちょっと楽しみにしておいてください。

**************************************

この記事は『岡田斗司夫ニコ生ゼミ』2月24日分(#270)から一部抜粋してお届けしました。