>>738
 例えば、これは劇中でアリータがチョコレートを食べるシーンなんですけど。
(パネルを見せる)
 この右側が、劇中で使われたカット。それに対して左側が、サラザールさんが実際に演じているところを
キャプチャーしている様子なんですけども。

 多数のカメラを用いて、身体に取り付けたマーカーの動きを記録。
マーカーの動きを一度3DCGのデータに変換して、その3Dデータを用いてCGモデルの骨組み自体を動かす、と。

 これ、何がいいかというと、重量感や物理特性が反映されるので、より現実に近いものを作れるところなんです。
 このシーンだったら「チョコレートを持った時のほんのちょっとした重み」とか、
「噛んだ時の感触」とかが表情にちゃんと現れているわけですね。

 これはロング用の大雑把なキャプチャー風景なんですけど。
(パネルを見せる)
 実際にパフォーマンス・キャプチャーでの撮影に使われているのは、このレベルの機材なんですね。
かなりデカいカメラとかバッテリーとかヘッドセットを頭に取り付けなきゃいけません。

 「パフォーマンス・キャプチャーを撮る時には、マイク、バッテリー、カメラ、レコーダーを頭に載せて、手袋とスーツを着て演技」
ということで、レコーダーまで載ってるそうなんですよね。
 なので、かなり動きにくかったそうです。

 これ使ったアリータの演技自体は、さっきも言ったように、パット見では目が大きくて面白いんですけど、
「演じた俳優さん自身も目が大きい」ということもあって、そんなにバランスが悪くなかったんですね。

 監督のロバート・ロドリゲスは「こんなに目を大きくして大丈夫かな?」と思って、
ジェームス・キャメロンが来た時にちょっと相談したら、キャメロンが
「ああ、これは違うよ。黒目を大きくするんだよ」と言って、目の大きさはそのままで、黒目だけをちょっと大きくしたそうです。
そしたら、もうバッチリになったそうなんですけど。

 今回、プロデューサーに徹しているジェームス・キャメロンが
「いかにして目の大きい日本のアニメキャラ、マンガキャラというのをスクリーンに出すか?」
ということを昔から研究して考えていたのかがよくわかるエピソードですよね。

 こういうところはすごくいいんですよ。

 では、なぜ「ダメだった」と言ったのかというと。

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