>>813
 これが太陽系家族写真っていうやつで、カール・セーガンはほかの科学者たちからも、
そんなもん別に意味がないよとかそんなもん撮ってどうするの? っていうふうに言われて。
ただ単に星が並んでるだけだっていうふうに言うんだけども。

 カール・セーガンは、いや太陽系がひとつの家族で、だから俺たちは惑星探査してるんだっていうのを、
いわゆる有権者にアピールするって言ったらエグい言い方になるんだけど、
みんなにわかってもらうには家族写真撮らなきゃダメなんだっていうふうに言ったんだ。

 中学校とか高校のアルバム見たら、なにか一体感ってあるじゃん。
懐かしい感じするし、誰かと旅行行った時にあとで写真見たら、思うことあるよね。
 だからその時は何のためかわかんないんだけども、絶対に撮っとけっていうふうに言ったんだ。

 でもボイジャーのその時のプログラム、1977年だからもう本当にマッキントッシュ・コンピューターとかiPhone以前の世界じゃん。
でも、そこのプログラムのなかに180度くるりとカメラを回転させて太陽系の写真を撮らせるっていうので、一苦労だったんだけども、
とにかくセーガンは説得して説得して説得して、しまくってついにそれ成功して。
 で、太陽系の家族写真、1990年に撮った。

 でも90年に撮ったんだけど、もう本当に電池がないし、送信するのにもう、みんなわかると思うけどさ、
スマホって送信する時にめちゃくちゃ熱くなるでしょ? あれは一番電気食うからなんだ。

 で、それで一生懸命撮った写真を細かーい画像データに分けて、チッチッチッチッチって
地球に何年もかけて送ってきて、やっと撮れたのが太陽系家族写真。

 みんなネットで検索してみてくれたらわかるよ。
 そんなに大した写真じゃないんだけども。いちおう、歴史上初めてワンフレーム上で、
つまり振り向いたらそこに太陽系があるっていう写真がちゃんと写ってる。

 後にパイオニアとか他の探査機でもっといい写真撮れるようになったんだけども、
僕はそのカール・セーガンが自分の人生の最後の何年かを注いで、で、1枚の写真撮りたいがために頑張ったっていう話がすごい好きでさ。

 自分の『王立科学博物館』っていうフィギュア作るときも、ボイジャーのところに当然これ書いたんだけども。
 なかなかいい話だよ。ロマンだよね。
**************************************
この記事は【岡田斗司夫アーカイブ】から選りすぐって、ハイライトをお届けしました。