2018年10月18日07:00
【岡田斗司夫ゼミ室通信】ホワイトベースの指揮系統『機動戦士ガンダム』より
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51551318.html


ブライトが、汗をダラダラとかいて、からだもフラフラしています。
(中略)
結局ブライトは、自分が座っている指揮官の椅子から、崩れ落ちて倒れてしまいます。

    画像(倒れるブライト) http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/1/a/1a606b46.png
(中略)

慌ててミライが駆け寄ろうとします。
それを見てセイラが、「戦闘中よ。」と言って止めます。
この、「止める」が大事なんですよ。

というのも、戦闘中の配置って絶対なんです。
絶対に自分の持ち場を離れてはいけない。

なぜかというと、誰か一人が持ち場から離れて逃げると、もうそれだけで船って、機能障害を起こしちゃうからです。
そのため、配置から動くには、上官の承認が必要と決められています。

今の状況だと、ミライはホワイトベースのNo.2です。上官はブライトしかいない。
つまり、ブライトが倒れた瞬間から、ミライに「動いてもいいです」と許可を出してくれる人がいなくなっている状態です。
だから、絶対に動けません。
違反するとこれ軍法会議になっちゃいます。

    画像(解説する岡田) http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/a/b/ab4f6097.png

この場合、ミライはどうするべきか。
恐らく、世界中の海軍の平均的なフォーマットに従えば、まず、「艦長が倒れた。」と、宣言します。
続いて、「私が最先任士官ですので、ブライト艦長の臨時の代理を務めます。
これに異議がある人は後で申し出て下さい。会議を開きます。」と宣言します。
最先任士官というのは、その場にいる士官や士官候補生の中で最も早く、役職についたと思われる人を指します。

それから、その宣言を記録させ、記録したことを確認します。
その上でないと、動いちゃダメなんです。
これをやらないと、最悪の場合、反乱罪になっちゃうんですよ。
反乱罪は、軍法会議の中で1番重くて、銃殺か絞首刑による死刑になります。

セイラはそれを知っていたので「ミライ、戦闘中よ。」と言って止めたわけです。
このシーン、ミライさんが我を失って、セイラさんがそれを冷たく止めたみたいに思われがちですけども、
セイラがやっているのはミライの命を救うことなんです。
「戦闘中に動くと軍法会議にかけられて、あんた死刑になるわよ。」という意味です。