2018年09月15日12:00
「島本和彦の魅力・面白さがすべて詰まった『逆境ナイン』」
2014年10月12日号ニコ生ゼミ テキスト全文公開
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51550408.html
より

【繊細でクレバーな島本和彦の『逆境ナイン』】

 あのね、『逆境ナイン』は島本和彦先生自身も自分の一番の作品と言ってるんだよね。

 今はもちろん『アオイホノオ』と言ってるし、あとは、人によっては『燃えよペン』『吠えろペン』が
ものすごく好きな人がいるんだけども、僕が思うにやっぱり島本和彦の魅力・面白さが
すべて入ったマンガっていうのは『逆境ナイン』です。

 で、『逆境ナイン』は、何だろうね、いきなりこう、ドン、「逆境とは!?」てなふうなところで始まるんだけども、
自分の思い通りにならないことを言うということで、主人公は野球部の部長なんだよね。

で、「逆境とは?」って来て、次のページで校長室に行って、「不屈闘志、野球部キャプテン、入りますっ!」
って言って、校長が出て来たら、バンとめくったら、「廃部だ!」ってなことで、
「逆境とは」というのでいきなり連載の第1話のつかみが、もうみんなも見たこの『アオイホノオ』の頃の島本和彦、
焔燃のマンガのスピード感、いわゆる定番をやろうとしてるんだよ。

 だから島本和彦先生だけでなくて、あらゆるマンガはデビュー作の頃は、
まだ自分の文法って確立してないから、さっきのさデッサンの模写っていうのあったんだけども、
マンガの模写をやっちゃうんだよね。

 すでにあるマンガ、面白いマンガを自分なりに写してコマ割りしたら
こうなるっていうふうなことで、自分のリズムが出てないと。