岡田斗司夫プレミアムブロマガ
「『トトロ』に出てくるネコバスとは何者?」
2018/9/10 7:00
http://ch.ni covideo.jp/okadatoshio-archive/blomaga/ar1662681

【ネコバスとは何者なのか?】

 まず最初に、映画の中で登場するオバケの説明をしようと思います。
 「ネコバス」と、「ススワタリ」と「トトロ一族」ですね。

「トトロ一族」と書いているのは、同じトトロでも、大中小と3匹出てくるからです。
 この3種類のオバケ、本当はトトロから説明すべきなんですけど。
トトロの説明は長くなるし、他を説明してからの方がわかりやすいので、他の2つから説明していきます。
 3種類のこれらのオバケは、実は3種類とも別の存在なんですよね。

 まず、ネコバスの話からいきましょうか。

 この、みんな大好きなネコバス。こいつの特徴は「異常までの擬態能力」です。
つまり、何かのフリをするのがうまいんですよね。

 屋根に付いているウィンカーみたいな部分がネズミの形になっているのはご愛嬌として、
ドアの部分が自動ドアみたいにウィーンと開いて、ご丁寧に目がフロントライトのように輝いて、中には座席まであります。

 上の部分には行き先表示までしてあります。ここでは「塚森」と描いてあるんですけど、
この行き先もカチャカチャっと切り替わる。

 この変身能力を見るに、トトロやススワタリといった他のオバケとは別レベルの「作り込み」というか
まるでオモチャみたいな感じがするオバケなんです。

 でも、それも当たり前の話で、このネコバスの正体というのは、人を化かす「化け猫」なんですね。
 高畑勲は「人を化かす動物というのは、狐と狸と一部の猫だけだ」と『平成狸合戦ぽんぽこ』の中で言っているんですけど、
ネコバスはその1つである化け猫なんです。
 というわけで、『となりのトトロ』に登場する3種類のオバケのうち、ネコバスは化け猫。つまり、妖怪ですね。

 宮崎駿がインタビューの中で答えた設定によると「今はバスに化けている」そうなんです。