>>296
 これによって、縄文初期の文明は全滅したと言われているんですね。

 これについては、『もののけ姫』の解説をする時に、もっと詳しく説明しますが、
乙事主たち猪神が、西から上がって来て、身体がどんどん小さくなってきたのはなぜかというと、
この鬼界カルデラの大噴火があったからなんです。

 まあ、『エヴァンゲリオン』の“セカンドインパクト”みたいなものですね。
 その結果、彼らは九州付近には住めなくなってしまい、一斉に、東へ東へと移動した。
 これ、現実の歴史でもそうなんですよ。縄文初期の文明これで全滅してますから。
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 それと同時に、海水量が増えて、ついに朝鮮と日本の間に海峡が誕生しました。
 そうやって、日本海が生まれ、南の方から温かい海流が入り込むようになりました。
 一方で、北には間宮海峡が出来て、シベリアの冷たい水が入ってくるようになります。
 これによって“暖流”が発生し、日本海側には大量の雪が降るようになり、豪雪地帯に雪が溜まるようになります。
 ここで初めて、日本は温暖化して、稲が大量生産出来るような場所になるんですね。

 稲が大量生産できるようになると、森はどんどん伐採されて田んぼになります。人口もどんどん増えていきます。
 その結果、乙事主たちのような猪神は“人類に滅ぼされていく”ことになるんです。
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 つまり、『もののけ姫』に出てくる神様たちというのは、劇中で繰り広げられているような
「森を切られて、火を燃やされたから滅ぼされた」というわけではないんです。もっと大きな事件があったんですよ。

 元々、2万年前から1万年前の日本には、広大な森があった。それは、当時の日本が半島だったからです。
 ところが、それから平均気温が7度も上がってしまったことにより、海位が100mくらい上昇し、森の大部分失なわれてしまった。
 それと同時に、鬼界カルデラの大爆発が起こり、おそらく、九州から中国地方の辺りまで、誰も住めない状態になってしまった。

 その結果、古き神々は東へ東へ移動することになるんですけど、
この時に“弥生民族”が中国の方から朝鮮半島を経由して日本に上陸してきて、稲作を始め、森をバンバン伐るようになった。

 なので、乙事主たち猪神というのは、鉄と火が大嫌いなんですね。
 彼らが鉄を嫌うのは、「鉄を作る民族=稲を作る弥生民族だから」です。
 火を嫌うのは、鬼界カルデラの爆発を見ていたからです。

 まあ、これが『もののけ姫』の基本設定なんですけど。これは、トトロたちの祖先の話でもあるんですよね。
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 『もののけ姫』に登場する日本の古代神というのは、
もともと2万年前の日本半島で栄えていた“クトゥルフ”みたいな存在なんですよ。
彼らこそが先住民族であり、人類は他所から来た新参者なわけです。