>>113
 しかし、実際に放映された『バンダーブック』を見た手塚先生が何と言ったか?
 「全部、リテイクです」というふうに言い放ったんです(笑)。
http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/2/6/26456427.png

 で、本当に全部リテイクしたんですよ。
 『バンダーブック』のリテイクって、必要ないんですよ。だって、日テレの『愛は地球を救う』のために作ったアニメなんだから、
その日にしかオンエアする予定はないんですよね。当時はビデオ化とか、そういう話も全然なかったので、全く無駄なんですよ。

 ただ、24時間テレビというのは、日テレ系列で日本全国同時生放送のはずだったんですけども、
地方局によっては「この時間はダメだ」というようなものが、いくつかあったんです。
なので、2ヶ月後とか3ヶ月後、地方局でのみ、細々とリテイクされた『バンダーブック』がオンエアされたんですけど。
 もちろん、後年、『バンダーブック』というのは、ちゃんとDVDにもなったんですけどね。

 この「全部リテイクです」と言う、手塚治虫の鬼気迫る勢いは何かというと、
やっぱり「アニメを作りたかったから」なんでしょうけども。

 その他にも、ぶっちぎりで28%の視聴率を取ったことで、「やっぱり俺のやり方は間違ってなかったんだ!
みんなからは反対されて、いろいろ言われたんだけど、こだわってこだわって作って良かった!」
という手塚治虫の叫びもあると思うんですよね。
・・・
 だからといって、「『バンダーブック』というのは全部リテイクしたから、すごいんだろうな」
と思って、DVDを借りて見たりしないでください。

 手塚治虫の24時間テレビのスペシャルアニメというのは、正直言って、あまりまともな作品がないんですよね。
 そもそも、視聴率が良かったのは、当時はアニメブームの頂点みたいな時代だったからなんですよ。
だって、この1978年というのは、『機動戦士ガンダム』のオンエアの前の年なんですよ?
無料のテレビで、それも1時間半もある劇場アニメが見られると言われたら、それはもう、みんな見るに決まってるんですね。

 だから視聴率が良かったんであって、「質が良かったからとか、作品が素晴らしかったから、
視聴率が良かったわけでは決してない」ということだけは押さえておきましょう(笑)。
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この記事は『岡田斗司夫ニコ生ゼミ』8月26日分(#245)から一部抜粋してお届けしました。