>>869
 それで「きらめく光 俺をうつ〜♪」で、本当にきらめく光が俺を撃っています。
 愚直なまでに「歌詞と絵を合わせる」という事を何度もやっています。

 それでダンバインのコックピットに乗り込んで、フタが閉まって発進です。
 「オーラの力 たくわえて〜♪」で、後ろに城が見えて、オーラの光がキラキラと尾を引いて、それでダンバインが飛び立つ。

 「ひらいた翼 天に飛ぶ〜♪」で、本当に天に飛んでいます。
 これも愚直なまでに、オープニングの歌詞どおりに絵を描いています。

 「恐れるな、俺の心〜♪」で、キャラクター4人がバーッと出てきます。
 このときに注目して欲しいのが、4人とも左を向いていることなんですね。
 これは何かっていうと、彼らは主人公であるという証拠なんです。

 それはどういう意味かっていうと、夏目房之介が発見した事なんですけども、
日本語には日本語の進行方向というのがあるそうなんです。
 僕らが漫画を見るときには右から左へと読むんですね。

 漫画のセリフっていうのは縦書きですから、右から左へと流れていく。
 つまり右側が上流で、左側が下流になるわけですね。
 なので、物語を進める人間っていうのは必ず左を向く。
 それに対して、物語を止める人間っていうのは右側を向いてる。
 それが鉄則なんですよ。

 それで、この4人のキャラクターの顔が次々と並ぶときに、顔が左側を向いているのが “正義グループ” 。
 正しい側、正義の側だっていうのを現してます。

 「悲しむな、俺の闘志〜♪」っていうときに、頭に角がある馬、ユニコーンが出てくるんですけども、
足が太い事に注目してください。
 西洋的なユニコーンではなくて、農耕馬のような強い馬です。

 足首が太い馬に角が付いているという事で、西洋的なユニコーンのイメージを払拭して、
富野さんは新しいファンタジーを作ろうとしています。
 力強い、泥臭いファンタジーを。

 「のびる炎が正義になれと〜♪」、ここも本当に炎がのびているシーンですね。
 愚直なまでに。

 「雷はねてソォドが走る〜♪」という所は、本当に雷がピカピカと光って、剣を振り回しているというですね。
 当時は本当に、ファンタジーというものはほとんど日本に紹介されてなかった時代なんです。
 なので富野さんは、敢えて愚直なまでに歌詞と絵を重ねる事で、世界観を作っています。