0427おたく、名無しさん?
2018/08/20(月) 10:59:35.04二重構造になっていますから、表面の層としては、
徹底して女性向けのロマンス映画として作っています。
いわゆる恋愛、それも、女の人向けの恋愛モノの“お約束”の全てを満たした上で、
ラストは「ソフィーは夢のマイホームを手に入れる」という、
ものすごいハッピーエンドになっているわけですね。
まあ、このハッピーエンドへの持って行き方というのが、
見る人にとっては「なんでそんな都合のいい展開になるの?」って、
引っかかっちゃうこともあるんですけど。
でも、これは表面層。一見するとお約束満載の乙女チックなロマンス話に見えるんですけど
、もう一段深い層には「中年から老境に差し掛かる男の現実」という話を描いているんです。
男の夢とか男のロマンというのを全て否定しながら語る、宮崎駿なりの“家庭論”
というのが入っていて、やっぱりこれも面白いんですよ。
ロマンスという層について「表面」という言い方は悪かったかもしれませんね。
「右と左」と言った方が正しいのかもわからない。
このロマンスの部分も、実は、割とわかりにくいんですよ。だから、それが伝わる人、
ロマンチックな恋愛モノをよく見ている人にとっては「あるある! すごい黄金パターン! 鉄板だ!」
って喜べるんですけど。見慣れない人にとっては「え? ハウルやソフィーの行動原理、さっぱりわかんない」
となってしまって、恋愛映画としても楽しめない。
だからといって、もう1つのほろ苦い感じはもっとわかりにくい。
なので、これらを読みきれないと「『ハウルの動く城』って、つまらないよな」って思っちゃうんですよね。
だけど、この両方が見えると、すごく面白い作品なんですよ。
一方にあるほろ苦い部分はもちろん、宮崎駿が、なぜか彼の中にものすごく沢山ある“乙女心”を
全開にして作ったロマンチックな話だけでも、十分面白いんです。
なので、今回は、この両方を出来るだけわかりやすく解説してみようと思います。
でないと、俺ら男には、宮崎さんほどの乙女心がないから、よくわからないんです(笑)。
・・・
男性の中には「やっぱりストーリーがイマイチ」とか、「ラストの展開、特にカカシの正体が隣国の王子だった
という辺りの展開が、ご都合主義っぽく見えて、乗り切れない」と言う人も多いんです。
だけど、実はこの『ハウルの動く城』という作品は、構造自体はレゴのようにものすごく綿密に作ってあるんです。
ちょっと信じられないと思いますけど、ご都合主義とか無茶な展開は、この物語の中に1つもないんですよね。
それくらい計算されて構築してあるんです。