>>894
こういう時、ロケット噴射だとわかるようにと、ついつい明るい色を使いたくなるんです。
でもガンダム世界において、こういう力強い噴射は、それまでのアニメの定番である黄色とか赤の噴射ではなく、
もっと高温の青で表されます。

それは富野監督の科学的なこだわりでもあります。
「アニメとか映画をやる前は、ロケット科学者になりたかった」と、
僕と対談した時に富野由悠季さん自身が何度も仰ってたんですよ。

もともと小学校中学校くらいの時はロケット科学者になりたかった。
でも成績が足りなかったので、科学の道に行けなかったと。

少ないエネルギーで人間みたいなものを持ち上げるための噴射は、噴射速度が速くないといけない。
つまり、燃焼温度が高いんです。
だから噴射の色は”黄色とか赤”よりもっと温度が高い”青とか白”に近づくんです。
この色が正しいんですね。

これは砂埃というか砂嵐が巻き上がっている空に、ジオン兵が飛んでいる。
そこに青系の噴射だと、すごく地味な配色になります。
でも、リアリティが出ていますよね。

同時に、この噴射をあんまり明るく描くと、、多分、アムロの恐怖感が伝わってこないはずです。
ゲリラ戦でこれから自分たちが、こいつらに乗り込まれて戦わなければいけないっていうのを
描写するシーンだから、恐怖感を出さなきゃいけない。

そういう意味もあって、こういう地味な画面にしています。