>>639
 これは“原子雲”と呼ばれる、原爆水爆が爆破した時に起こる雲に似せて描かれた、ゴジラの頭の形のデザインスケッチです。
 ゴジラのデザインというのは、こういうふうに段々と固まってきて、一番最初のゴジラのような、ワニみたいな鱗というよりは
「全身の皮膚が放射線によってケロイド状に焼けただれたような体表面」という表現に近づいていきます。
 つまり、その時代の最新の科学による恐怖というのが、その時代の怪物の姿に反映されるわけですね。

 『シン・ゴジラ』というのも、もちろん、福島の原発事故などをモチーフにしてデザインされています。
 「最新の科学が恐怖のモンスターを生む」という意味では“遺伝子工学”というのがもてはやされた頃に、
遺伝子操作で産まれた恐竜が暴れまわる『ジュラシック・パーク』という映画が作られたのも当然の流れなんです。
 これに限らず、映画業界では、その時代の最新の科学をモンスターとして描くということが定番中の定番なんですね。
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 同時に、映画の歴史というのは、イコール恐竜の歴史でもあるんです。
 映画というものが生まれて以来、その時代ごとに最新の学説に基づいた恐竜を見せるんですよ。

 映画自体は、1893年、ほぼ同時期に、アメリカのエジソンとフランスのリュミエール兄弟が発明したと、
お互いに言い張ってるんですけども。

 この映画というメディアが誕生すると、数年もしない内にストーリーがあるドラマ映画が生まれて、
その次には長編映画というものが作られるようになります。それが『月世界旅行』という、
ジョルジュ・メリエスが作った世界初のSF映画でした。

 その後、デヴィット・グリフィスというアメリカの監督が『國民の創生』や
『イントレランス』という2時間を超える大作映画を、1915,16年に作ったことで、
映画の歴史上、第1期の頂点を迎えることになります。

 ちょうどその頃、1918年に『スランバー山の幽霊』という映画が作られました。

(スランハ?ー山の幽霊)
http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/5/6/56ded480.png

 この映画自体は14分くらいの短い映画なんですよ。
ただ、この中で、もうすでにティラノサウルス対トリケラトプスの対決が描かれているんです。

(パネルを見せる、ティラノサウルス対トリケラトフ?ス)
http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/8/6/8665149a.png

 作ったのは、ウィリス・オブライエンという監督さんです。
 映画が誕生して、グリフィスが『國民の創生』とか『イントレランス』という大作映画を作った時代。
モノクロの、もちろん音も何もない字幕映画の時代なんですけど。
その時から、もうすでに恐竜映画というのが作られようとしていました。

 ウィリス・オブライエンが作った代表作というのが『キング・コング』です。
この映画が作られたのは1933年なんですけども、その15年前の1918年に『スランバー山の幽霊』という映画を
オブライエンは作っていたんですね。
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