>>545
 同じく、これは2006年版の『のび太の恐竜』に出てきたティラノサウルスです。

(パネルを見せる、2006 ティラノサウルス)
http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/9/b/9b3bab73.png

 『ジュラシック・パーク』に出てきたのと同じ、今の恐竜の学説に則った姿になってきて、ちゃんと尻尾が跳ね上がっています。
 他にも、色が派手になっています。昔の恐竜の復元図というのは、茶色とか灰色とか、そういう渋い色味で描かれていたんですけど、
最近では「捕食獣としての“警戒色”みたいなものがあったんじゃないか?」と言われています。
 まあ、「羽毛を付ける」というところまでは、流石に行ってないんですけど、一応、色味で今っぽさというのを出していますですね。

 こういうふうに、『のび太の恐竜』が2006年版になったら恐竜の形がほとんど全部変わっちゃったというのも、
『ジュラシック・パーク』のおかげなんです。
・・・
 『ジュラシック・パーク』には、主人公として“アラン・グラント博士”という恐竜学の博士が出てきたんですけども。
その人のモデルは、モンタナ州立大学にいる、ジャック・ホーナーというオッサンなんですね。

 このモデルとなったジャック・ホーナーは、映画の中のアラン・グラント博士と「ビールの勧め方までそっくり」な人物だそうで、
本当に、あんな感じのカウボーイハットをかぶっているオッサンなんですよ。

 実は、読語障害というのを子供の頃から抱えてて、文字を読む能力は小学3年生並なんですけども、
その代わり、絵とか、動くものは一度見たら絶対に忘れないそうです。
よく頑張って学者になったなと思うんですけども。

 このジャック・ホーナーさんが、いろいろアドバイスしたおかげで、
『ジュラシック・パーク』というのは、かなり恐竜に関して正確な映画になりました。

 だけど、それはあくまでも「1980年代の学説を90年に取り入れたものとしては」なんですよね。
 なにより、この『ジュラシック・パーク』という映画が、恐竜業界に対していい影響をもたらしたのは、第一作目のみなんですよ。
これが『ジュラシック・パークU』になると、もう怪しげになってくるんです。

 例えば「ティラノサウルスが子供を育児していた」みたいな、誰も論拠を発見していない説というのも出てきますし。
あとは、ラストでプテラノドンが羽ばたいて着地するんですけども、本当のプテラノドンは、
あんなにデカい翼を動かす筋肉をほとんど持っていないので、羽ばたけるはずがないんです。

 でも、いまだに『ジュラシック・パーク』のプテラノドンは……最新作の『ジュラシック・ワールドU』は見てないんですけども、
ついこの間の『ジュラシック・ワールド』までは、延々と羽ばたいてます。

 ここに関しても、ハリウッドは、本当よりも見栄えを優先するという姿勢を崩していないですね。
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この記事は『岡田斗司夫ニコ生ゼミ』7月8日(#238)から一部抜粋してお届けしました。