>>980
 煙突掃除のバートっていう、「チム・チム・チェリー♪」って歌う兄ちゃんが案内するロンドンの屋根の上の世界。
この「屋根がどこまでも続いていて、煙突が立ち並ぶ中、向こうの方に小さい人が動いている」っていうのは、
完全にミニチュアで遠近法を強調したセットとして作られているんですね。

 アトラクションぽいというか、ちょうど、イスが動いて行くアトラクションとして作る前の、
とりあえずの前段階の映画として作っているのがよくわかるんですよ。

 ディズニーが1966年に死ななければ、『メリー・ポピンズ』というのは、いずれはオーディオ・アニマトロニクスによって、
2時間くらい掛かるアトラクションになってたんじゃないのかなと思います。

 たぶん、それは練馬区くらいの面積の土地に昔のロンドンみたいな街が再現されていて、
その中のアトラクションに入ると、4人乗りのオムニムーバーがガーッと動いて、
『モンスターズインク』の“ドアがどこまでも続いている倉庫”ってあるじゃないですか。
あんな感じで、中を立体的に動いて、『メリー・ポピンズ』の世界、
19世紀のロンドンというのが体験できるアトラクションになっていたんじゃないかな、と。

 なんかね、ウォルト・ディズニーの発想というのは、たぶんその辺りくらいにあったんじゃないかな?

 僕らはついつい、もう現代のバーチャルリアリティの中で作ろうと考えちゃうんですけども、
当時はまだそんなものがない時代ですから、ディズニーが生きていたら、
たぶん、そんなことを考えていたんじゃないかと思います。
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この記事は『岡田斗司夫ニコ生ゼミ』6月10日(#234)から一部抜粋してお届けしました。

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岡田斗司夫
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